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5/5/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−45



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(5月2日、更新第45報)


中国の状況、世界の症例数6000例になる、最近の地域内伝播が見られる地域


中国における状況
中国は本日、新たに176例のSARS「可能性例」を報告したが、このうち96例は北京からであった。この報告によって、中国の累積症例数は3,799例、首都では1,636例となった。11例の死亡例が報告されており、累積死亡例数は181例となった。

内蒙古自治区からの本日のSARS「可能性例」の報告数は26例と跳ね上がり、この地区からは累積で180例が報告された事になる。このほかに新たな症例が、河北(Hebei)省14例、広東省9例、吉林(Jilin)省5例、山西省4例の各省から報告された。

WHOは、公式にはSARS指定病院とされていない、ある大きな病院を実際に訪問し、感染制御対策の手法を緊急に見直す必要が有ることを明らかにした。依然として医療従事者の感染がみられることから、現在の救急室における感染制御対策の修正が必要であると考えられた。北京で新たに、第一線の医療従事者のあいだから15例の症例が報告された。現時点までに300人の医療従事者が感染している。天津(Tianjin)市からさらに9人の医療従事者の発症が報告されている。

北京にいるWHOチームは、引き続き市の地域保健当局と共に疫学的トレンドを解析しているが、多くの欠損情報の収集が課題として残っており、また各々の症例探査の報告も完成することが必要である。「一般国民は、いつ、どこで感染が起こっているのかといった情報を、もっと必要としている。今、我々は何も知らない。」と、中国におけるWHO代表Henk Bekedam博士は述べた。

患者情報と感染が報告された国に関する最新報告
本日までに27ヶ国から、累積で6,054例のSARS「可能性例」と417例の死亡例が報告されている。これは昨日に比べ、さらに207例の症例と26例の死亡例の増加である。新たにカナダから2例、中国から11例、香港特別行政区から8例、台湾(中国)から5例の死亡例が報告されている。

台湾急速に集団発生が広がっているが、本日累積で100例の「可能性例」、昨日と比べて11例の新しい症例を報告した。台湾では8例の死亡例が報告されている。カナダは本日、新たに2例の「可能性例」を報告した。

最近の地域内伝播地域

WHOは本日より、地域内伝播が20日以内に起こった地域と国の一覧表を毎日発表する。他の国で感染した症例とは対照的に、状況や背景にかかわらず、その地域で感染したことが最も疑われるSARSの「可能性例」が1例以上報告された場合に、地域内での感染伝播が生じたと考える。以前の「伝播感染地域(affected area)の一覧表の変わりに発表される新しい表はまた、地域内での伝播のレベルを「低い」、「中等」、「高い」と分類している。

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