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5/1/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−43



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(4月30日、更新第43報)


中国の状況:世界の他の地域を合わせたより多い患者数


中国における状況
中国はさらに166例のSARS「可能性例」と11例の死亡例を追加報告し、累積で3,460症例と159死亡例となった。中国は今や、その他の世界の国々を合わせたより多くの「可能性例」を報告している。

北京は最多の新規症例(101例)と死亡例(9例)を報告しており、累積で1,440例の「可能性例」と75例の死亡例となった。これらの新しい症例のうち、31例は以前に「疑い例」として報告されており、70例は全くはじめて報告された。

現在、中国の首都にある9つの病院がSARS患者専門に対応している。北京の直ぐ郊外に、入院患者を収容するための1000床の病院が建設されている。保健当局は、SARSの集団発生が既に混み合っている北京の病院に、許容量以上の負担をかけるのではないかと懸念を表明している。

Xiong Ke呼吸器病院の担当者はSARS患者のために100床を追加した新しい病棟を明日開院すると、本日のWHO専門家による訪問の際に告げた。この病院は全235床がSARS患者で占められており、すでに中国の中で最も多いSARS患者を抱えている。

WHOの専門家チームのJames Maguire博士は、非常に難しい労働環境にありながら、この特別な事態に病院スタッフは立ち向かっていると語っている。「病院スタッフの志気は非常に高い。彼らは自分たちが行っていることに非常に誇りを持っており、とても良く働いている」と彼は述べ、スタッフの中には45日間家族の顔を見ることなく働き続けている人もいると付け加えている。厳格な感染防御手法は重く、暑い防護服の着用を含んでいる。

アトランタ(ジョージア州)にある米国疾病対策予防センターの疫学者であるMaguire博士は、マスクや、手袋、呼吸管理機材、重層防護服などの特殊装備と、病院間で患者を搬送するための救急車がもっと必要であると述べている。WHOスタッフは、市内の病院では物資の不足があり、より多くの供給を必要としている事を懸念している。

この疾患は中国国内の他の地区でもその足跡を残しつつ広がっている。上海に近い江蘇省(Jiangsu)から本日初めての症例が報告された。中国の西部からの報告が増え、山西省からは34例、内モンゴル自治区からは7例の「可能性例」が報告され、それぞれ累積で299例と127例の「可能性例」が報告されたことになる。山西省からの症例の5分の1(65例)は医療従事者であった。

河北省でも引き続き増えており、さらに9例の「可能性例」が報告され、累計で48例となった。天津市(Tianjin)もさらに5例の「可能性例」を報告し、累計で49例となり、広東省は6例の報告で、累計1,405例となった。

患者情報と感染が報告された国に関する最新報告
本日までに26ヶ国から、累積で5,663例の可能性例と372例の死亡例が報告されている。これは昨日に比べ、211例の新たに報告された症例と19例の死亡例の増加である。新たに中国から11例、香港特別行政区から7例、台湾(中国)から1例の死亡例が報告されている。台湾はこの1週間でSARS「可能性例」が37例から78例へ2倍以上にふくらんでおり、今回の1例が初めての死亡例の報告である。マカオ中国特別行政区は本日、初めての「可能性例」を報告した。


 
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