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4/30/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−41



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(4月28日、更新第41報)


ベトナムが伝播確認地域の一覧表から取り下げられたが、「可能性例」は世界中で5,000例以上に上っている


ベトナムでSARSを封じ込め
WHOは本日ベトナムを伝播確認地域の一覧から除いた。これによって同国は、SARSの集団発生を成功裏に収束させた初めての国となった。このようなベトナムの感染状況に対する判断の変更は、最後に新しいSARSの症例が報告されてから後、潜伏期の2倍に当たる20日の連続した期間が経過したことによる。ハノイのWHO代表であるPascale Brudon博士は、「今日はベトナムにいる我々にとって、また世界中にとってもひとつの重要な節目の日である。WHOはベトナムに対して、SARSの流行の収束に成功した初めての国になったことのお祝いを申し上げる」と述べた。

ベトナム政府は始めこの発表を今朝(4月28日)行ったが、国中が引き続き油断なく警戒を続けることが必要であると、その後付け加えた。保健担当相は、WHOと共にウイルスの輸入に対して防御対策を執っていくという、国の強い姿勢を確約した。

ベトナムで2月26日に最初にSARSが検知されて以来、WHOはベトナム当局担当者と密接に連携し、集団発生を制御下に置くために協力してきた。鍵となった対策・行動には、集団発生の早期探知、ひとつの病院へSARS患者を集めて入院させたこと、厳格な感染制御対策、入念な接触者追跡調査、そしてすべての「未確認情報」に基づく症例の詳細な調査などが含まれた。「我々はこの流行を収束させることができたが、このウイルスは近隣の国々に依然として存在している」と、Brudon博士は述べた。

WHOは、ベトナムが依然高いレベルの警戒を維持することが必要であると考えている。なぜならば、たったひとりのSARSの新しい症例が、再び次の集団発生を引き起こすことができるからである。先週には、ベトナムの保健担当相が総理に、中国との陸路の国境を閉鎖することの許可を求めた。ベトナムは最近、中国との国境におけるサーベイランスを強化しているが、国境の閉鎖は直前で中止した。

5,000例以上の世界中からの報告
本日までに、26ヶ国から累積で5,050例のSARS「可能性例」と321例の死亡例が報告されている。これは土曜日に発表された最近の報告に比べ、214症例と28死亡例の増加である。死亡例は中国から9例、香港特別行政区から17例、シンガポールから2例が新たに報告されている。

時差の関係で、中国からの本日の症例数と死亡数は日曜日の報告数を含んでいるが、本日(4月28日)のものは含んでいない。


 
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