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4/25/2003


(仮訳)

重症呼吸器症候群(SARS)の院内感染対策指針
(4月24日3訂)




外来/トリアージ時(外来受診時の誘導)


SARSの診断検査を必要として医療機関を受診した患者は、他の人々への伝播を最小限に留めるため、トリアージ・ナース(患者誘導の担当看護師)によって速かに隔離された領域へ誘導されなければならない。

上記の患者には、マスクを渡し着用させること。できれば患者の呼出した空気を濾過する機能のあるものがよい。

外来でのトリアージの段階に関与するスタッフは、下記(N95以上の基準)のようなマスクとゴーグル(眼を防護するもの)をつけ、全ての患者に接する前後、汚染が起こる可能性のある手技の後、手袋を外した後に必ず手洗いをする。

SARSの疑いで検査中の患者については、「可能性例」と診断された患者に可能な限り接触しないように配慮するべきである。

汚れた手袋、聴診器、その他の器具は感染を広げる可能性がある。

希釈して準備したばかりの塩素系漂白剤(ブリーチ)のような消毒薬が、適切な濃度で院内のどこででも広く使える状態でなければならない。


入院時
SARS「可能性例」(SARS診断基準参照)の看護

SARS「可能性例」の隔離あるいは入院のための病室は、次に示す優先順位で選ぶ。

 

1.

ドアが閉鎖された陰圧の病室

 

2.

独自の手洗い、浴室が完備した個室

 

3.

(患者が複数で上記が不可能な場合は)給気と排気が独立した
空調システムと手洗い、浴室が完備した相部屋(病棟の一角)へ集める

独立した空調がない場合は空調を止め、窓を開けて十分な換気を行うことが推奨される。病室の窓を開放する場合には、それが公共の場に面していないことを確認すること。

WHOはSARS症例に対して、空気、飛沫、接触感染に対する予防措置をすべて含めた、厳格なバリアナーシングを行なうことを推奨する。

清掃や調理に従事する者などの補助的スタッフに至るまで、すべてのスタッフは、これらの患者のケアをするために必要な感染症コントロール手法の訓練を受けなければならない。

全員の行動を観察し、感染制御に還元する役割を担うスタッフを必ず一人指名する。

SARS患者の検査、治療には可能な限り使い捨て医療器具を用い、適切に廃棄する。やむを得ず再使用する時は、業者の仕様書に沿って滅菌する。器具の表面は、ウイルスに有効性が証明されている広域消毒剤で消毒する。

患者の隔離ユニット外への移動は避けなければならない。移動する場合には、患者はN95マスクを着用しなければならない。

仮に医療機関によって面会が許された場合も、面会者は最低限に抑えなければならない。面会者にはマスク、手袋などの個人防御用具(PPE)を渡し、医療従事者による監督下で患者と接すること

学生を含む担当外のスタッフは、SARS患者の病棟/ユニットへ立ち入らないこと。

手洗いが極めて重要である:従ってきれいな水を利用できる事が必須である。すべての患者に接触する前と接触後、病原体に曝露後される可能性のある医療行為を行った後、および手袋をはずした後には手洗いを行わなければならない。

明らかな有機物による汚染が無い場合には、アルコールを含む手指消毒剤を用いても良い。

ネブライザーの使用、胸部理学療法、気管支鏡、胃内視鏡や、その他の気道を侵襲する恐れのある処置を行う場合、医療従事者が患者に非常に近接する場合、感染性がある分泌物へ接触するおそれがある場合には特に注意が必要である。

PPEは隔離領域に立ち入る全てのスタッフ及び面会者が着用しなくてはならない。

このような状況下で着用されるべきPPEは以下のようなものである:
   適切な呼吸器の防護が行えるマスク(下記参照
   手袋(両手)
   眼の防御用具(ゴーグルなど)
   使い捨てガウン
   エプロン
   汚染除去可能な履物

鋭利なものは直ちに、安全に処理しなければならない。

SARS患者のリネン類は洗濯担当のスタッフが取り扱えるように、その場で処理してから洗浄に出す。この処理の間は適切なPPEを着用し、リネン類はバイオハザード用の袋へ入れなければならない。

病室の清掃は、ウイルスに有効性が証明されている広域消毒剤を用いて、PPEを着用したスタッフによって行う。

空調施設に関した詳細な提言はまもなく発表される。

呼吸器の防御:導入可能なところでは、*P100/FFP3あるいは、P99/FFP2のフィルターレベル(順に99.97%と99%の効果)のものを用いる。*N95(95%のフィルター効果)も高い防御効果をもつので、それ以外の高度の防御対策がとりにくいところ、例えば隔離の前の段階のトリアージの場で働いているスタッフ等が着用する。できれば使用するマスクは、適切な「装着試験キット」を用いて、業者の仕様書に沿って、装着試験を行うべきである。使い捨てのマスクは絶対再使用しないこと。

*N/R/P 95/99/100、またはFFP 2/3、またはこれと同等の国家工業基準(NOISH N, R, P 95, 99, 100)、あるいはEuropean CE EN149:2001(FFP 2,3)と EN143:2000 (P2)、または製造国におけるこれと同等の全国的/地域的基準を満たすもの。


 
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