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4/24/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−36


(仮訳)

WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(4月22日、更新第36報)


シンガポールと中国の現状

シンガポール
シンガポール当局は、市場に関連があることが分かった3例から成る小さな症例の集積を検出したことを受けて、日曜日(4月20日)に大きな青果卸市場をひとつ閉鎖した。本日までに、SARS「可能性例」8例と「疑い例」14例にこの市場との関係がみられている。

この集積群の最初の症例は、4月12日に死亡した、64歳の市場労働者である。彼は3月31日にシンガポール総合病院に親戚を見舞っており、発症はこのことと関係があると考えられている。この他に集積群中の「可能性例」には、2人の市場労働者、最初の患者を自宅から市場へ運んだタクシー運転手、この市場関係者たちの3人の孫を含む4人の親戚が含まれている。

厳しい接触者追跡調査によって14例の「疑い例」すべてが、市場、市場労働者、市場を訪れた人、それらの家族のいずれかと繋がりがあることが分かった。

保健当局はこの集団発生を収束させるために、1,200余りの自宅内検疫の指示を出した。4月5〜19日の間に市場を訪れた人たちは、この疾患の症状に注意し、もし症状が現れた場合には直ちにホットラインに連絡を取り、医学的な指導を受けるように強く求められた。

WHOが得ている情報によると、早期診断と迅速な支持療法によって臨床転帰が改善される事が示されている。

本日までにシンガポールから、186例のSARS「可能性例」と16例の死亡例が報告されている。これまでのSARSに対する重要な政府の対策は、接触者の追跡あるいは経過観察、そしてひとつのSARS患者用の病院の特定の病棟に患者を隔離する事であった。

中 国
中国当局は現時点の累計で、2001例のSARS症例と92例の死亡例を報告している。北京で報告された482症例のうち78例が医療従事者であったとされている。2月中旬に提出された、中国の初期の非典型的な肺炎の報告によると、約30%の症例が医療従事者であった。

最近の報告は、SARSは今や中国の最も貧しい省、広西自治区西部、甘粛省北部、内モンゴル自治区を含む地域へ広がった事を示唆している。中国当局は広東と同様に、最近症例が報告された山西、内モンゴル、河南、寧夏の地区へもSARS予防対策チームを派遣する計画を発表した。

現在WHOのチームは、中国最大の都市である上海でSARS集団発生の大きさと被害の程度を調査している。SARSに対して連携した対策を取るために、北京、香港、台湾、マカオの関係当局者が明日(4月23日)、北京で会合を開く。SARSは、ますますどの政府にとっても単独で対処する限界を超えた問題と認識されつつあり、今回の会合はこのようなSARSの国際的局面を強調するものである。

患者情報と感染が報告された国に関する最新報告
本日までに、25ヶ国から累積で3,947例の「可能性例」と228例の死亡例がWHOへ報告されている。新たに報告された11死亡例は中国からの6例と香港 特別行政区からの5例であった。


 
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