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4/15/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)-24


(仮訳)

WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告

(4月8日、更新第24報)


WHOの中国広東省チームが報告書を提出の予定

中国広東省のWHOの専門家チームは明日の朝、現地のSARSの状況に関する公式の中間報告および勧告を提出する。オーストラリアのJohn MacKenzie博士に率いられた4人の調査団は、 4月3日(木曜日)から広東省に滞在している。この調査チームは現地の状況を評価し、SARSの症例のサーベイランスや、患者管理、感染制御そして診断検査を支援する役割を負っていた。

調査チームは平成14年11月中旬に最初の症例が発生したとされる仏山市、および省都である広州市を訪れた。広範な協力体制のもと調査が行われ、調査団は現地当局者、保健・獣医の専門家、省の疾病対策センターの研究所や中山医学院のウイルス学研究室の技術専門家などと会見した。チームはあらゆるレベルの職員と協議し、要請した全ての場所、研究所、病院を訪れることが許された。

調査チームは省のサーベイランスシステム、地域における感染制御方法、患者管理及び院内感染制御の実態について報告する。さらに、微生物学的な検査結果の詳細な検討結果についても報告する予定である。

広東省のSARS集団発生は現在のところ、知られている限りで最大かつ最も初期のSARSの集団発生であり、ウイルスの起源や患者管理手法の両方に関する重要な手がかりを含んでいる可能性がある。WHOへの最も初期の異形肺炎症例に関する報告書の中で中国の保健省は、仏山、広州、河源、江_、深_および中山の6つの地方自治体から、昨年11月中旬〜今年の2月9日の間に、305症例と5死亡例を報告している。

広州は、香港における集団発生の引き金を引いた、発端者の64歳の中山大学腎臓学教授の故郷であった。彼は2月下旬にメトロポール・ホテル9階の911号室に滞在した。このホテルの9階に滞在した宿泊客たちが、トロントやシンガポールのそれぞれの家へ帰宅後、集団発生を引き起こした。やはり9階に宿泊した48歳の米国人ビジネスマンは、彼が移されたハノイと、香港のPrincess Margaretホテルでの集団発生の原因となったと考えられている。この9階にいた知り合いを訪れたひとりの香港地元住人はその後、香港のふたつ目の病院の集団発生の引き金となっている。

中国の他の地域、たとえば最初のSARS症例の報告をした上海では、SARSについて検討し、どのようにこの疾患を取り扱うのが最も良いかについて助言を得るためにWHOチームの訪問を要請した。

北京では日曜日に起こった53歳の国際労働機関(ILO)職員の死が、特に大使館や国際機関の職員の間で強い不安を引き起こし続けている。北京のWHO事務所の疫学者は、この職員の曝露源を特定し、密接な接触者が曝露されていないかを評価するために、接触者の追跡調査やその他の調査を行っている。今日までのところ、この死亡例に関連したSARS症例や疑わしい症状の発生は観察されていない。調査は続けられている。

患者情報と感染が報告された国に関する最新報告

本日までに、17ヶ国から累積で2,671例のSARS症例と103例の死亡例が報告されている。これは昨日に比べ、70症例と5死亡例の増加である。新しく発生した死亡例はカナダ(1例)、香港特別区(3例)とシンガポール(2例)から報告されている。新たな症例はカナダから1例、中国11例、香港特別行政区45例、フランス1例、シンガポール7例と、米国から7例報告された。台湾(中国)は報告患者数累積一覧表から2例を取り下げた。


 
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