重症急性呼吸器症候群(SARS)の
サーベイランスのための症例定義
(4月1日改訂)
目 的
SARSの疫学を解析し、この疾病の影響の大きさと拡大状況を継続的に監視し、その予防と感染制御に関する提言を提供するために行う。
症例定義(平成15年4月1日改定)
世界的なサーベイランスのための症例定義は、対象となっている病気が急速に進展中であると言う特徴のために、いくつかの限界がある。定義は現在までのSARS臨床像の知見と入手可能な疫学的情報に基づいており、新しい情報が集まるにつれて改定されていくと考えられる。3月21日に出されたWHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)の臨床病像に関する暫定情報には、現在までのところSARSの臨床像について解っている事が要約されている。各国はそれぞれの国における疾病の状況に合わせて、症例定義の変更することが必要だと考えられる。後ろ向きサーベイランスは必要とされていない。
Suspect Case(疑い例)
1. 平成14年11月1日1以降 1) に発症して受診し、以下の項目を満たす者:
・高熱(>38℃)
と
・咳嗽、呼吸困難
と、発症前10日の間に、以下のうちひとつ以上の曝露の既往がある者:
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SARSの「疑い例」か「可能性例」とclose contact 2)
(密接に接触)した人
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伝播確認地域 3) への旅行歴がある人
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伝播確認地域 3) に居住していた人
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2. 詳細不明な急性呼吸器疾患で平成14年11月1日1以降に死亡し、病理解剖が行われていない者で
且つ、発症前10日の間に、以下のうちひとつ以上の曝露の既往がある者:
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SARSの「疑い例」か「可能性例」とclose contact 2)
(密接に接触)した人
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伝播確認地域 3)への旅行歴がある人 |
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伝播確認地域 3)に居住していた人
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Probable Case(可能性例)
1.
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「疑い例」で、胸部レントゲン写真において肺炎の所見又は呼吸窮迫症候群(RDS)の所見を示す者
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2.
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「疑い例」で、病理解剖所見がRDSの病理所見として矛盾せず、はっきりとした原因がないもの
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除外規定
他の診断で疾病が完全に説明される時は、その患者はSARS症例から除く。
症例の再分類
SARSは現在除外診断により診断されているので、報告症例の分類は経過と共に変化する。患者はその所属分類に関わらず、常に臨床上適切に管理されていなければならない。
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当初「疑い例」か「可能性例」と診断されたが、その他の診断で疾病が完全に説明されるときは、SARSの症例から除外する。
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「疑い例」で検査の結果「可能性例」の診断基準を満たす症例は、「可能性例」へ再分類する。
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「疑い例」で胸部レントゲン所見に異常がなかった者は、適切と考えられる治療を受け、7日間の経過観察を行う。これらの症例のうち、十分な回復が見られない者については、再度胸部レントゲン写真で評価する。
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「疑い例」で回復も十分にしているが、その疾病が他の診断では完全に説明が付かない者は、引き続き「疑い例」とする。
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「疑い例」で死亡し、病理解剖が行なわれなかった者については、「疑い例」の分類へ残す。しかしながら、この症例がSARSの感染伝播鎖に関連した例である事が解れば、「可能性例」へ再分類する。
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病理解剖が行なわれた結果、RDSの病理学的所見が認められなかった場合には症例から除外する。
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1)
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SARSと確認された中国の異型肺炎の症例を含めるために、サーベイランス開始期間を平成14年11月1日とした。国際的にSARSが伝播している事の報告は平成15年3月に初めて、2月の発症例について行われた。
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2)
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Close contact(密接な接触):SARSの「疑い例」あるいは「可能性例」の看護をしていた、同居していた、又は気道分泌物や体液に直接接触した場合を言う。
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3)
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伝播確認地域:当該国の公衆衛生当局の報告に基づき、地域内でのSARSの感染伝播鎖の存在が確認された地域とする。
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