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4/4/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−20


(仮訳)

WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(4月3日、更新第20報)


WHOチーム広東省に到着

WHOの専門家からなるチームが本日中国広東省へ到着し、直ちに仕事を開始した。このチームは昨日当地へ入ることを許可された。

本日、省当局の上級保健担当官との会議が開かれた。WHOチームはSARS集団発生の報告も受け、総てのレベルの医療従事者と会談した。これらの人たちは集団発生にじかに関わった方々で、疫学者やSARS患者の治療に当たった臨床家を含んでいる。議論は伝播の形式、臨床像、考えられる起因病原体などに集中した。

中国当局は、集団発生が始まった11月16日から3月の終わりまでの、広東省における累積症例数を1,153例、死亡40例と報告しており、この省が本日までのところ最も深刻にSARSの影響をうけた地域となっている。

世界で最初のSARS症例は11月16日に広東省で発生した。コロナウイルス科の新しいウイルスにより引き起こされていると考えられているSARSの由来に関して、重要な手がかりが得られるのではないかと非常に期待されている。ウイルスの正確な帰属ははっきりしていない。WHOが主催する毎日の電話会議に参加している科学者たちは、今のところSARSウイルスは動物種からヒトへ感染したか、より病原性の高い形へ突然変異したものと考えている。

現在行なわれている調査の中でWHOチームは、最初の患者が報告された仏山(Foshan)市、及び広州市を訪問する予定である。調査団は又、医療機関を訪れ、患者の記録を閲覧し、来週始めに北京へ戻る前にさらに討議も行なう予定である。

北京では今中国政府が、優先順位に従いSARSに対応するために準備を整えている。本日の報道報告はSARSに関する全国人民代表大会に触れ、三つの鍵となる決定について説明している。

保健省のZhang Wenkang博士率いる特別対策委員会がSARS対策の任を負う。全人代副主席が関連省庁の連携をとる

特別委員会がSARSの最新情報をWHOへ提供する

集団発生の迅速な把握と報告のために、全国的な集団発生警報と対応の機構を早急に設立する

Zhang博士はSARS関連の事柄について述べるため、中国の国営放送テレビに出演した。

香港特別行政区の状況

香港特別行政区の保健省は、昨日は新規症例23例であったが、本日は26例報告している。この数値は月曜日の60例、火曜日の報告数155例に比較すると著しく減少している。この傾向は、政府によって導入された並外れた制御手法が効果を現していることを示している。保健省はさらに、89人のSARS患者が退院したと報告した。

患者情報と感染が報告された国に関する最新報告

本日までに、16カ国から累積で2,270例の症例と79例の死亡例の報告がされている。これは昨日までと比べ、47症例と1死亡例(香港)の増加である。

ブラジルから「可能性例」の報告が加わったことにより、今やSARSは四大陸から報告されたことになる。

新規症例はカナダから4例、香港26例、台湾1例、フランス2例、シンガポール3例、米国13例、ベトナムから1例報告されている。ブラジルは最初の「可能性例」を報告している。ルーマニアから報告された3例中2例、アイルランド共和国の2例中1例とスペインの1例は他の感染原因が判明したため、一覧から除かれた。


 
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