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4/1/2003


(仮訳)


WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)と診断された患者の退院及び退院後の経過観察に関する方針
(3月28日改訂)


この勧告は追加情報に基づき定期的に更新される。

SARSの回復期患者

WHOは、医学的見地から退院が可能であると考えられるSARSの回復期患者に関して、退院の判断を下すのに先立ち、以下のような項目について検討することを勧める。


臨床症状及び臨床所見:
  ・48時間発熱が無いこと
  ・咳嗽が無いこと

検査結果(以前に異常値が見られていた場合):
  ・白血球数が正常に戻っていること
  ・血小板数が正常に戻っていること
  ・クレアチン・フォスフォキナーゼ(CPK)値が正常に戻っていること
  ・肝機能検査が正常化していること
  ・血漿ナトリウム値が正常化していること
  ・C反応性蛋白(CRP)が正常化していること

放射線学的検査結果:
  ・胸部レントゲン所見が改善している

回復期症例の退院後経過観察

退院後の回復期患者には、日に2回(朝夕)体温を測り記録するよう協力を求める。もしも、検温で連続して2回38℃以上の発熱が見られた際には、退院した医療機関へ報告をするように指導する。

病原体に関して、また病原体の持続感染による伝播のリスクの可能性に関して、さらに詳しい情報が得られるまでは、注意深い対応が必要である。従って、回復期患者は、退院後7日間は自宅内に居ることとし、他者との接触は最低限に控えるよう用心する事が重要である。

経過観察のための受診は一週間後に行い、胸部レントゲン、以前に異常を認めた項目に関して血液検査全般を行なうことを勧める。経過の観察は必ず、各患者が退院した医療機関で行なう。これに加え担当医師は、経過観察の時期を一週間の期間にとらわれず症例ごとに、必要に応じて決める事ができる。

この一週間後の観察時に、更なる行動制限が必要かどうか決定しなければならない。免疫不全の患者においてはより長い行動制限が必要となることがある。胸部レントゲン所見と患者の健康状態が正常に復するまで、引き続いて経過の観察を行なうことが推奨される。

経過観察の一環として、発症後3週間の時点の回復期血清を採取し、退院した医療機関へ提供する必要がある。

退院する回復期患者には、健康状態が悪化した場合又は更に症状が現れた際には、直ちに再受診するよう明確に指導する事が重要である。


 
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