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中国におけるSARS症例:調査は継続中―更新6


WHO 2004/5/5(原文

4月22日に始まった中国におけるSARS流行の原因調査は、北京の国立ウイルス学研究所で継続している。同研究所は、本年2月から3月にかけて感染性のあるSARSウイルスを使った実験を行っていたことが知られている。

同研究所の2名の研究者が3月の終わりと4月の中旬にSARSを発症した。しかし、いずれの研究者も感染性のあるSARSウイルスを使った実験は行っていなかったとされており、今回の感染は同研究所の実験室内の他の原因に、または実験室以外の場所に由来する可能性もある。

WHOと中国政府の共同調査チームは、個人感染防御のための完全な準備をしたうえで、先週金曜と昨日に研究所に立ち入り調査を行った。今回の調査では、感染原因を説明しうると考えられる感染源も実験過程の誤りもみつからず、今後の調査は難航する可能性のあることが示唆された。

今回の感染源を確定し、国立ウイルス学研究所における諸条件、装置、およびバイオセーフティの問題によって引き続きSARSウイルス感染が起こらないようにするためには、今後も継続した調査が必要である。中国側調査員によって、研究所の様々な場所から多くの検体が採取された。これらの検体は、香港にあるWHOのSARSラボで検査されている。

実験室内感染のリスクを最小限にするため、感染性のあるSARSウイルスを使う実験はバイオセーフティレベル3の施設で行うように、WHOは強く勧告している。今後国立ウイルス学研究所が同ウイルスをつかった実験を行う際に、物理的なウイルスの閉じ込め、保管、管理諸手続き、実験過程、実験者の個人防御、および実験室への出入の許可とモニタリングが正しく行われていることを保証するためには、同研究所における継続調査が必要である。

同研究所は4月23日に閉鎖され、そのスタッフのほとんどが医療監視下におかれている。しかし、少数のスタッフは施設内で必要な実験と実験室動物の管理を行っている。

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2004/5/7 掲載 IDSC  

 
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