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中国ですでに報告されたSARS症例の確定診断を追加;
  現在までの症例の要約−更新5


WHO 2004/4/30(原文

中国衛生当局は本日発表し、4月19日に亡くなった安徽省の53歳の女性がSARSコロナウイルスに感染していたことを確認した。この女性は医師で、北京の国立ウイルス学研究所で研究をしていた26歳の大学院生(訳注:中国衛生当局によって確定例とされているうちの一人)の母親である。この大学院生は現在も安徽省の病院に入院している。

4月22日に最初の例が報告されてから、中国衛生当局は5人の患者を確定例と判断し(下記の要約を参照)、SARS様の症状および確定例と密接な接触歴をもつ4人の擬似例についても検査を進めている。 

4月22日以降、北京にいる7人の患者はDitan Hospital(訳注:地壇病院)に集められ隔離治療されている。

今回のSARS流行の原因の調査では、国立ウイルス学研究所においてバイオセーフティのプロセスが適切におこなわれていなかったことに焦点があてられている。同研究所は4月23日から閉鎖されている。

これまで報告されている症例の要約

現時点までに第3世代までの感染が確認され、9人の患者が報告されている。

第一世代:最初の症例は、安徽省の26歳の大学院生女性で、北京の国立ウイルス学研究所で3月7日から22日まで研究していた。同研究所の実験室は、SARSコロナウイルスを使った研究をしていることが知られている。この患者は3月25日に発症し、その後安徽省から北京へ移動し、また安徽省へ戻っている。この患者のSARS感染は中国衛生当局により確定診断とされている。

実験室感染が疑われる第二の症例は、同じ研究所の31歳の男性研究者である。この患者は4月17日に発症し、現在北京の地壇病院で治療を受けている。現在のところ、この症例に関連した他の患者は報告されていない。

第二世代:第二世代の2人の患者は、上記の大学院生と密接な接触をもっていた。一人は大学院生の母親で、SARSコロナウイルスに感染していたことが本日確認され、現在のところ唯一の死亡症例である。もう一人は、20歳の北京の看護師で、上記の大学院生の看護を3月29日から4月2日まで行っていた。この看護師のSARSコロナウイルス感染は、中国衛生当局により確定診断とされており、患者は現在北京の地壇病院で治療を受けている。

第三世代:さらに5症例が上記の看護婦との密接な接触をもったとされている。うち3人はいずれも看護婦の親族で、45歳の父親、44歳の母親、そして36歳のおばである。母親とおばの感染は中国衛生当局により確定診断とされている。うち一人は49歳の引退した女性医師で、看護師が入院していた病院にSARS以外の疾患で入院し、看護師と相部屋であった。残りの一人は、この女性医師の23歳の娘で、入院の際に付き添っていた。後者2例は、いずれも入院してから一週間をすぎてから発病したため、相部屋の看護師との密接な接触で発病したと考えられる。

第三世代の5人の患者は地壇病院に集められ隔離治療されている。

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2004/5/7 掲載 IDSC  

 
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