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中国からさらにSARS症例が報告−更新3


WHO 2004/4/28(原文

中国衛生当局は本日、さらに1例のSARSが疑われる症例について調査中であることを報告した。これにより、4月22日以来報告された中国からの症例の合計は9例となった。このうち1例が死亡した。

新たな症例は北京からで、49歳の女性の退職医師である。この女性は4月12日に、(先に報告された)20歳の看護師が肺炎の治療を受けていた病院の病棟に入院した。この医師は4月19日にSARS様の症状を示しはじめ、4月22日には地壇病院(Ditan Hospital)に転院し、隔離下におかれた。この症例は危篤状態であると記載されている。

先にWHOへ確定例として報告された20歳の看護婦は、5例の症例と関連づけられた。これに含まれるのは、本日報告された症例と日曜日(4月25日)に報告された4例である。本日までのところ、すべての症例が、確認された症例への密接な接触を介しての感染伝播の連鎖に、関連付けられている。安徽省(Anhui Province)で入院中の2番目に確定された症例は、26歳の大学院生であり、北京のウイルス学研究所で研究をしていた。この症例が今回の集団発生の発端者(index case)と考えられている。

2003年の集団発生中に、SARSは医療機関内で顕著に感染伝播が拡大した。北京における感染リスクを低減する戦略として、現在は7例のSARS症例すべてが地壇病院で治療されている。

しかしながらこの患者たちは、SARSの疑いが浮上し、隔離手段がとられ、感染制御対策が導入される前に、7つの病院(北京の5病院、安徽省の2病院)の開放病棟で治療あるいは検査を受けた。これに加え安徽省の2人の患者は、中国国内を鉄道で長距離移動した。

このような出来事は複数の多数の曝露機会を生んでおり、中国当局は接触者に対し、徹底した追跡調査と経過観察を行っている。北京では、700人近い人たちが隔離されたか、自宅あるいは集合施設での待機下におかれている。

SARSは比較的長い潜伏期を持ち、一般的に10日と考えられている。現時点の疾病に関する知見に基づくと、ウイルスに曝露された人も発症前は感染力がない。こういった理由から、症例の迅速な検知と隔離、接触者の迅速な追跡調査と経過観察の手法を用いて、SARSの集団発生を制御下におくことに成功した。

集団発生の調査

中国衛生部の依頼により、WHOのチームの最初の人員は、北京と安徽省での集団発生の調査と対策の支援のため、現在北京入りしている。感染源については最初に、北京の国立ウイルス学研究所でのバイオセーフティ手法に集中して調査する。最初の症例を含む、中国から報告された9例中2例がこの研究所の研究者であり、生きたSARSコロナウイルスを用いた実験を行っていた。

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2004/4/30 掲載 IDSC  

 
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