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中国でさらにSARSの調査中症例;
WHOチームが北京へ−更新2


WHO 2004/4/26(原文

WHOは本日、中国衛生部の依頼により、最近北京と(中国の)東の方にある安徽省(Anhui Province)から報告されたSARS症例の感染源調査の支援を行うために、国際チームの最初の人員を派遣する。このチームは水曜日に活動を開始する予定であるが、疫学、ウイルス学、感染制御対策、実験室内バイオセーフティの専門家が含まれる予定である。

本日までの調査結果が示していることは、北京の国立ウイルス学研究所での実験室内での研究が、この集団発生の原因であるという可能性である。この研究所はワクチン開発を含む、SARSコロナウイルスの研究を行っている。

最近報告された症例のうち2例は、この研究所で研究を行っていた。安徽省からの26歳の大学院生の女性と、31歳の男性である。この2症例の発症日は非常に離れており(23日)、3月中旬から4月の始めにかけて、実験室内で曝露の機会が2回以上あった可能性を示唆している。

当局はこのウイルス学研究所を閉鎖し、その200人以上に上る雇用者を医学的観察下においた。可能性のある汚染源を検討するため、環境からの多くの試料が実験室から採取され、これらはWHOにも提供される予定である。

感染源を知り、それを取り除くことは、集団発生を制御下におくための非常に重要な対策となる。同様に、感染伝播の連鎖の全容を迅速に把握し、迅速に症例検知、接触者の追跡調査と経過観察、病院内の感染制御を行うことにより、そのつながりを断つことも重要な活動である。

WHOは、曝露の機会がこのほかにもすでに起こっていたかもしれないことを、心配している。患者の中には、SARSの疑いがもたれ、患者の隔離や厳格な感染予防手技といった適切な予防策が取られる前に、複数の異なる病院で治療を受けたり、検査を受けたりした者がいた。患者のひとりは、症状の有る期間に、鉄道で中国国内の長距離の移動を2回行っている。

中国当局は、医療機関内でのSARS様疾患のサーベイランスと報告を強化し、安徽省へ調査団を派遣した。

4月22日以来中国は、8人が臨床的にSARS症例と診断されるか、SARSの感染の可能性について調査中であると報告した。これらの人のうち6人は北京からで、死亡例1例を含む2人は安徽省からである。本日までのところ、北京での640人と安徽省での353人を含む、これら症例の1000人に近い密接な接触者が、医学的観察下におかれている。

最も最近の症例は、日曜日に発表されたが、北京の病院で安徽省の学生の看護にあたった20歳の看護師との密接な接触者4人である。これらの症例は全員北京におり、現在検査中である。この中には、看護師の両親とおば、この看護師が治療中に同じ病棟にいたひとりの女性患者が含まれている。この4人全員の症状は、4月16日から19日のあいだに現れている。看護師の母親は、肺炎を起こした後重症になっている。他の3人の病状は安定している。

これに加え衛生当局は、安徽省合肥(Hefei)で大学院生の女性が入院した際に、治療にあたったふたりの医師が発熱したことを報告した。この医師の一方との密接な接触者のうちのひとりも発熱した。

本日までのところ、診断のついた症例と検査中の症例のすべてが、確認された症例と密接な個人的接触により、感染伝播の連鎖に関連付けられている。地域社会において、より広範に感染伝播があることの証拠は何もない。


WHOのSARSの国際的サーベイランスのガイドラインによると、ひとつの集団発生の初めにSARS確定例と分類するためには、外部の国際リファレンス研究機関による、独立した検査結果の確認作業が必要である。この作業は、「SARS確定例」の国際公衆衛生における影響の大きさを考えると、必要な手順であると考えられている。

Alert, verification and public health management of SARS in the post-outbreak period

 Case Definitions for Surveillance of Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS,revised 1 May 2003)

 Use of laboratory methods for SARS diagnosis

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2004/4/27 掲載 IDSC  

 
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