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中国のSARSに関連した問題についてのWHOの説明

WPRO 2004/1/19(原文

WHOの国際専門家チームは、最近、中国衛生部、中国農業部、中国疾病対策予防センター(中国CDC)及び広東省疾病対策予防センター(広東省CDC)と共に中国広東省で共同調査を実施した。

調査の主目的は、32歳のテレビプロデューサーのSARS症例と、他の2例(若い給仕の女性と35歳のビジネスマン)の感染源を特定することであった。3人はすべて広州市に住んでいた。

2004年1月9日から16日までの共同調査では、いずれの症例においても確実な感染源の特定ができず、調査は継続している。ただし、SARSコロナウイルスの動物宿主の可能性に関するものを含め、いくつかの興味深い発見があった。これは1月16日(金)の報告でメディアに公表された。しかし、いくつかのメディアはこれらの事実を過度に単純化していた。WHOはこの機会に状況を明確にしたい。

ハクビシン:WHOの環境専門家は、給仕の女性が働いたレストラン及び動物市場でハクビシンを収容していた檻から検体を採取した。これらの検体のいくつかは検査でSARSコロナウイルスの痕跡に関し陽性であった。これはSARSコロナウイルスの宿主としてハクビシンを指摘する、中国広東省および香港特別行政区の科学者達の最近の研究を裏付けるだろう。しかしながら、ハクビシンが本当にヒトにSARSコロナウイルスを伝播させるのか、ないしはさせるとしてどのように伝播させるのかはまだ不明である。

他の動物種が宿主でありSARSコロナウイルスを伝播する可能性もある。しかし、このような動物種はこれまで正確に特定されていない。SARSコロナウイルスの動物宿主に関してはさらに非常に多くの研究をする必要があり、WHOは中国及び国際社会に対し、これらの研究に対し重要な問題として予算を配分し実行するよう推奨する。

調査の継続:最新の共同調査が終了したことで、これら3症例の感染源調査が終了したことにはならない。いくつかのメディアはそれを示唆したが、我々は調査が継続していることを繰り返し述べたい。これまでのところ、最初の症例であるテレビプロデューサーに関し、何が感染原因か明確ではない。3番目の症例であるビジネスマンについても明瞭な答えはない。2番目の症例である給仕の女性には、ハクビシンを彼女の感染に関連づける強い状況証拠がある。しかし、繰り返すが、さらなる研究が必要である。

「より軽症な」又は「異なる」疾患?:今までのところ、3症例が「より軽症な」疾患なのか又はSARSの新種なのか確実な証拠はない。3人の患者が、2003年の集団発生の時に確認された重症例より軽い症状を呈したことは真実である。

しかし、これらは3症例にすぎず、2003年に見られた幅広い症例を代表するわけではない。2003年の集団発生においても比較的軽い症例はあった。今年の3人は若く、昨年も多くの若い患者がより短期間に回復するのが見られた。

これらの3症例がSARSの新しい亜型の存在を示しているかどうかについて、WHOの専門家は今のところこれを支持する確実な証拠はないという見解である。

WHOは状況を監視し続け、必要に応じて更新情報を提供する予定である。

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より詳しい情報を希望される方は、WHO中国のRoy Wadia氏(+86 1361 117 4072,wadiar@chn.wpro.who.int)あるいは、WHO西太平洋支局(WPRO)のPeter Cordingley氏(+63 2 528 9991 - 9993,cordingleyp@wpro.who.int)へご連絡ください。欧州での問い合わせは、Dick Thompson氏(+4122 791 2684 または +4179 475 5475)へお願いします。

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2004/1/22 掲載 IDSC  

 
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