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広東省におけるSARSを疑う2症例に関するWHOの更新

WPRO 2004/1/17(原文

WHOは、広東省におけるSARSが疑われる症例の双方がSARSに罹患しているらしいと考えているが、完全な検査による確認がなされるには追加の実験室検査が必要であるとも考えている。

広州の給仕の女性から採取された血液検体は、香港特別行政区にあるWHO関連のSARSリファレンス研究施設で分析された。その検査の結果、この女性はSARSコロナウイルスを中和することのできる高いレベルの抗体を持っていること、そして、病状の進行とともにその抗体価が4倍上昇したことが示された。このことは、女性はSARSに罹患しており、従ってSARS確定例と考えるべきである。同様の所見が、同じ検体を中国・北京の研究施設で検査した際にも得られた。

しかしながら、ヒトで感冒を起こす一般的なコロナウイルス−OC43−に対し、この患者の抗体価が同じように上昇していることを受け、香港特別行政区の研究施設の一方から注意喚起がなされた。この所見の重要性を十分に理解するにはさらなる検索を行う必要がある。SARSコロナウイルスを分離すること、そして検査に適した検体すべてをPCRで検査する努力がなされるべきである。この理由からWHOは、それらの検査を行う香港特別行政区の研究施設にさらに検体を送るよう要求している。

広州の35歳のビジネスマンの症例においては、血液検体が香港特別行政区の実験施設で検査された。その結果、男性もまた、SARSコロナウイルスを中和する抗体だけでなく、SARSではないコロナウイルスであるOC43(上記女性症例の項参照)に対する抗体も保有していることが示されている。しかしながら、香港の二つの研究施設に送られた血液検体は男性の病期の早い段階で採取されており、3日間しか間隔がない。従って現時点では、抗体価の4倍の上昇−国際的に認められた急性感染の指標−を示すことが出来ていない。WHOは従って、抗体価の必要とされる上昇を示し、PCRやウイルス分離法を利用してOC43との交差反応を除外する努力をするために、香港特別行政区の二つの研究施設にさらに検体を送付することを要求している。

35歳男性がSARSであることを示唆する臨床的・検査的兆候はあるものの、この段階では患者の実験室検査結果はWHOの検査による確定の診断基準に合致しない。従って、この患者は疑い例のままとすべきである

WHOは両症例に関するその後の進展を監視し、後日更新情報を発行する。

より詳しい情報を希望される方は、WHO中国のRoy Wadia氏(+86 1361 117 4072,wadiar@chn.wpro.who.int)あるいは、WHO西太平洋支局(WPRO)のPeter Cordingley氏(632 528 9991 - 93,cordingleyp@wpro.who.int)へご連絡ください。欧州での問い合わせは、Dick Thompson氏(+4122 791 2684 または +4179 475 5475)へお願いします。

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IDSCによる註釈:中国衛生部は、1月17日に公式発表を行い、上述の2症例が「SARSとして確定された」と報じている。

公式発表原文は http://www.moh.gov.cn/zhgl/gzdt/1200401170012.htm

2004/1/20 掲載 IDSC   2004/1/21 修正

 
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