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広東省の調査における
中国衛生部−WHO共同声明(WPRO)

(2003年12月29日−2004年1月2日,広東省広州市)

WPRO 2004/1/2(原文

現在広東省における調査を支援している、中国衛生部−世界保健機関(WHO)共同チームは、広東省保健当局との協力関係と制約のない情報交換に満足している。

広東省における状況は現時点では制御下にあると考えられる。確定されていないが、SARSが疑われる症例が一例、時機を逃さず特定され、治療され、隔離された。感染の状況は依然調査中であるが、この症例は現在快方に向かっていると報告されている。この疑わしい症例の42名の密接な接触者と、39名の一般的な接触をした者は、特定され、隔離された。現在までのところ、これらの人々はいずれもSARSの臨床症状を呈していない。

合同チームが広州市でみたところによると、広東省政府はこの状況への対応に多くの努力を払っていた。疾病サーベイランス機構は高い警戒水準にあり、SARSの脅威に対する十分な警戒がとられている。

現在の疑い例の検知に見られるように、システムは機能していた。しかしながら合同チームは、このシステムの幾つかの面においては、さらに改善が必要と考える:

保健システムの他の部分(救急医療部、中国伝統医療医院など)を、完全にこのサーベイランスシステムの中に組み込む必要がある。なぜなら、発熱と咳のある人々は専門化した「発熱クリニック」を受診するとは限らないからである。実際、「発熱クリニック」の利用は比較的低いように見られる。広東省CDCと他の各省の保健システムはこの事実を知っており、現在のサーベイランスシステムを、広州市や広東省の他の部分の社会的、医学的状況に合うように改良していく計画を立てている。

広州市で見られたような適切な対応が、広東省全体でとられることを確実に
しなければならない。

SARSコロナウイルスの感染源として可能性があるものを特定することが最優先である。動物宿主、環境宿主に付いての一層の調査を迅速に実行しなければならない。

発症前に患者が接触した可能性のある他の人々を特定するために、さらに広範な疫学的調査が必要である。

合同チームは、現在の医療施設内感染予防対策が十分に実施されている間に、
これらの改善が行われる必要があると考えた。

症例の早期検知と隔離および、早期の接触者追跡調査を可能とするシステムが有るなら、SARSが制御と封じ込めが可能な疾患であることは、昨年来知っていた。広東省当局は、明らかにそのようなシステムを開発することに最大の努力を払っており、その達成のための大きな一歩は既にとられた。

WHOは、広東省のSARSが疑われる症例の特定と報告に際し、中国の行った努力を讃へ、これが中国のSARS制御への前向きな姿勢と、国際的な保健報告システムへの全面協力の姿勢の表れであると信じる。

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2004/1/5 掲載 IDSC

 
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