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SARS特別委員会発表

 台湾のSARS臨時特別委員会発表 3 (要旨)

 (2003/12/18)



氈D SARS症例調査の最新情報
台湾疾病管制局(台湾CDC)からの最新の情報では、SARS患者C氏と6人の同僚たちはシンガポールから帰国時に、職場が手配した運転手の車で帰宅している。彼らは公共輸送機関は利用しなかった。12月11日に患者が新店のクリニックから帰った後に、3人の患者が受診しており、現在全員が自主健康管理下にある。C氏の熱は下がり、胸部レントゲン所見の改善も少し見られたが、まだ酸素マスクを着用しており、状態は安定していない。

. 家族4人、同僚5人、台湾への帰国便に同乗した14人、新店クリニックを訪れた7人、患者らを自宅へ送った運転手を含む、34人が現在自主健康管理下にある。台湾衛生署は、C氏の搭乗した便に同乗した旅行客のうち2名と連絡をとることができなかった。この2名の氏名は、H氏とL氏である。台湾CDCはこの両者に対し、自分と家族の健康を守るために、できるだけ早く最寄りの保健当局へ連絡を取るように要望する。これと併せて、12月11日と16日にすでに台湾を離れている4名と、すでに出入国管理局と連絡が取れている1名の、外国籍の5人の乗客がいた。また、17日の情報では、C氏の接触者の21人は平熱である。また、12月18日15:00現在、中正(CKS)国際空港で6人、高雄(Kaohsiung)国際空港で1人の乗客が、発熱あるいはSARSの症状が無い旨の証明書を提出している。

。. SARS症例は12月17日に三軍總醫院(Tri-Services General Hospital)から和平醫院(Hoping Hospital)へ転院した。台湾衛生署が確立した「感染症予防ネットワーク(感染症防治醫療網)」において、北部台湾では和平醫院がSARS患者に対して治療を行う第一次病院となっている。これに加え、第一回のSARS症例の波を経験後、和平醫院での院内感染症対策と、医療従事者の能力は今回の状況を取り仕切るのに十分に向上していると、北部地域疫学指令センターの張 上淳(Jhang Shang-chun)センター長は述べている。

「. 世界保健機関(WHO)の研究によると、SARSは患者が発熱している時だけに感染伝播する。Chan氏の接触者はいずれも発熱の徴候は無いため、ウイルスが拡散したと考える根拠は何も無い。一般の人々には、関係者のプライバシーを尊重し、疑惑を持たないよう要望する。

」. ひとりの症例が、しかも感染は実験室内だけで起こっていると考えられることから、事態は半年前の集団発生とは異なるので、一般国民は落ち着いて対処するよう求める。台湾CDCは国民に、手洗い、朝夕の体温の測定、病気の人を不必要に訪問することを避ける、バランスの取れた食事をする、発熱や咳嗽がある時は直ちにマスクを着用する、個人衛生を保つなどの予防的対策をとるよう呼びかけている。

また、台湾CDCはマスクの適切な着用時期を見極めるよう求めている:
A. N95マスクを着用しなければならない者
・ SARS患者の治療に当たる医療従事者
・ SARS患者と密接に接する可能性のある発熱スクリーニング担当者
・ 救急サービスと外来担当者
・ そのほかの関連担当者(例:臨床検査担当者、警察官、消防士、清掃担当者、剖検を行う者、葬儀と埋葬を行う者)
これらの人々は、防護衣(ガウン)、眼防護装具、フェイスマスク、手袋も着用
すること。
B. 上記以外の者は、通常のサージカル・マスクを着用する。
C. 発熱、咳嗽のある一般の人は、病気の人を訪問するしないにかかわらず、通常のマスクを着用するべきである。
D. 熱も咳嗽も無く、病気の人を訪問もしないなら、マスクをつける必要は無い。

また、もしマスクを着用するときには、以下のような基本を守ること:
1. マスクを着脱する前には十分に手を洗い、マスクが汚染されないよう気をつける。
2. マスクを埃や汚れに曝露しないようにし、クシャクシャにしたり、通気の無いところへしまい込んだりしないようにすること。マスクが汚くなったり、変なにおいがしたり、破れたり、湿ってだめになったりしたら、新しいものと取り替えること。
3. マスクを着用している時には、指でいじり回さないこと。マスクの装着状態を直すには、先ず最初に良く手を洗ってから行うこと。
4. マスクを捨てるときには、ビニール袋に入れ口を締めて、蓋付きのゴミ箱へ入れること。
5. 感染領域で使用したマスクは、感染性の医療廃棄物の廃棄方法に従うこと。

、. 台湾国民が出国をする予定の場合に、突然の発熱(38℃以上)をみたら、出発の24時間前に地域病院以上の大きな病院を受診し、SARSの感染の危険が無い旨の診断証明書をもらわなければならない。空港での手続きの煩雑さや遅れは、これによって軽減できる。証明書を入手できず、出国時に発熱(38℃以上)がある時は、空港の台湾CDCの検査デスクで、無料で医師による診察を受けられるが、旅程の遅れを覚悟する必要がある。台湾CDCとしては、発熱者は自己だけでなく他の人達の健康を守る上でも、旅程を延期することを勧める。

・. 報道でもとりあげられた実験施設での安全確保に関して、台湾CDCは、これら生物および微生物学的研究施設において、厳格な運用規約が長年に渡り実践されていることを繰り返して言いたい。この規約の要点は以下のようなものを含む:
  1.   1995年4月に起草された、「微生物及生物醫學實驗室之安全」は現在、衛生署預防醫學研究所により訂定中である。
  2.   台湾国内のP4の微生物学実験室(生物安全實驗室)は、國防大學預防醫學研究所のひとつだけで、P3実験室は台湾CDC、国立台湾大学醫學院附設醫院と新竹食研究所(Hsinchu Food Research Institute)で、のこりはすべてP1あるいはP2実験室で現在台湾CDCは P3の設備を整える支援をしている。
  3.   シンガポールの事例が発生した後の9月9日と10日に台湾CDCは、台湾にあるすべての医学研究所と、中央研究院(Academia Sinica)、行政院國家科學委員會(National Science Council)、國家衛生研究院(National Health Research Institute)、國防大學預防醫學研究所(Institute of Preventive Medicine, National Defense University)へ、バイオセーフティと感染防護措置を強化するように連絡をした。
  4.   毎年台湾CDCは契約研究所へ職員を派遣し、実験室と実験技術の品質管理のための査察を行っている。彼らには期限をきった改善命令を出す権限がある。
  5.   毎週水曜あるいは金曜に、安全管理に付いての会議が、SARSの研究を行っているすべての契約研究所の所長を集めてこれまでに27回開かれており、それに加えレベル3実験室におけるバイオセーフティのシンポジウムも11月に開かれた。このシンポジウムには、あらゆる専門家や研究者の参加が認められており、このとき台湾CDCはSARSの取り扱いに関する国際規定を契約研究所には配布している。

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(原文は http://203.65.72.83/En/dia/ShowPublication.ASP?RecNo=942

(2003/12/22掲載)

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