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5/6/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)



WHOの海外旅行に関する対応
(5月5日)


WHOの海外旅行に関する対応

旅行者へのアドバイス

SARSを心配している海外旅行者への最も重要なメッセージは、SARSの主要な症状を知っておくことである。すなわち、高熱(38℃以上、華氏100.4度以上)、乾いた咳、息切れ又は呼吸困難である。これら3つの症状があり、最近10日以内にSARSの地域内伝播の見られている地域にいた人(参照:伝播確認地域/最近の地域内伝播が疑われる地域)は、医師を受診するよう勧める。

これまでに、WHOは予防法のひとつとして、どうしても必要な旅行でない限り、中国の香港特別行政区、北京、広東、上海への旅行の延期を勧告した。この勧告は、これらの地域の国際空港を乗り継ぎのために通る人には適用されない。またWHOは、他のいずれの地域についても旅行制限を勧告してはいない。この勧告は暫定的なものであり、発生状況により日々変更される。

 Update 42 トロントの旅行勧告と中国の状況
 Update 37 WHO旅行勧告の対象を拡大:中国の北京、山西省とカナダトロント
 Update 17 旅行勧告:香港中国特別行政区と中国広東省に関して

SARSの国際的な感染の広がりを制限するための対応についてのWHO勧告

SARSに対する効果的な薬剤及びワクチンが無いので、この疾患の制圧には症例の迅速な確認、「疑い例」「可能性例」の隔離と濃厚接触者への対応(重症急性呼吸器症候群(SARS)の管理指針)を含む適切な管理によるところが大きい。大多数の国々では、これらの対応により輸入症例が出ても、他へ感染することを防いできたと考えられる。

旅行者がSARSウイルスを新しい地域へ持ち込む危険性を減らすために、++又は+++に分類されている地域内伝播のある地域(参照:最近の地域内伝播が疑われる地域)からの旅行者は出発時にSARSの可能性についてスクリーニング(ふるいわけ)がなされるべきである。

スクリーニング(ふるいわけ)は、2、3の質問に対して回答してもらうことからなり、体温検査もありうる。SARSのひとつ以上の症状があり、感染の機会のあった旅行者、急に具合が悪くなったような旅行者は医療関係者によって評価されるべきで、回復するまで旅行を延期するように助言される場合もある。   

WHOは、現在のところ、SARS流行地域からの全ての品物、生産品、動物が公衆衛生上問題を引き起こすとは考えていない。従ってこの件に関して輸入制限などの規制は必要ない。「WHO加盟国へのSARS伝播確認地域から到着する物品および動物に関する情報

WHOは更に、最近伝播が確認された地域から到着した人々も、上記に示したSARSの主要症状を知っておき、流行地を離れて10日間以内に症状が現れた場合には最初は電話にて連絡したうえで医師の判断を仰ぐべきである。「可能性例」と接触のない健康な人については特別な対策は必要なく通常の生活を送ることができる。「可能性例」との接触のあった者は最後の接触から10日以上経過して健康であると確認するまで旅行をしてはいけない。上記のアドバイスにもかかわらず「可能性例」の接触者が他の国へ旅行した場合には到着国の保健当局によって、自発的な隔離と監視下に置かれる。(参照:重症急性呼吸器症候群(SARS)の管理指針

WHO勧告をその国の事情に会わせて作成された情報があるので、旅行者は医師やその国の保健衛生当局から情報を得ることが望まれる。多くの国の保健当局が、優れた情報の掲載されたウェブサイトを作成している。

入手可能なWHO情報は、WHO SARS ウェブサイトに掲示され、定期的に更新される。

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