IDSC 緊急情報トップ >
 

 

3/19/2003


重症急性呼吸器症候群(SARS)のWHO管理指針
(仮訳・注釈)


I .疑い例の管理

1. SARSを疑わせる症状を呈する患者は、すみやかに指定された診察室・病室へ誘導する。
2. 患者に外科用マスクを着用させる。
3. 詳細な病歴、旅行歴、および過去10日間の接触者に発病した者がいないかも含めた接触歴を聴取する。
4. 胸部レントゲンを撮影し、血球検査(CBC)を行う。
5. 胸部レントゲン写真に異常所見が無い場合は、
  (1) 手洗いの励行等の衛生に努め、人ごみや公共交通機関使用を避け、回復するまで自宅にいるよう指導する。
  (2) 呼吸器症状が悪化すれば直ちに医療機関を受診するよう指導して、帰宅させる。(注 受診にあっては、予め医療機関に連絡する。)
  (3) もし間質浸潤の有無を問わず、片側、または両側性の浸潤影を認めた場合は、可能性例として対応する。

II.可能性例の管理

1. 個室、または個室が不足している場合は、SARSの可能性例と診断された患者同志を同室に入室させ入院とする。
2. 以下の臨床検体を採取し、既知の異型肺炎の病原体感染を除外する。
  (1) 咽頭スワブ検体と寒冷凝集素*
  (2) 血液培養と血清学検査
  (3) 尿
  (4) 気管支肺胞洗浄液
  (5) 場合により剖検
  *寒冷凝集素:ワイル−フェリックス反応、ヴィダ−ルテストなど
3. 検体は複数日に採取する。検査は指定された研究施設(注 自治体と結核感染症課で指定する施設)で行われる。検体についてはP3設備を有する施設内で検査されること。
4. CBCは隔日に経過観察し、胸部レントゲン検査は症状により必要に応じて繰り返す。
5. 臨床症状に応じた治療を行う。

付記;
1.
現在までの知見では、広域の抗生物質がSARSの進行の抑制に有効であったと証明されていない。
2.
リバビリンの経静脈投与とステロイド併用により、重篤な病状が安定した可能性がある症例が1例認められた。

III.疑い例、可能性例との接触者の管理

1. 不安の除去に努める。
2. 氏名と接触者の詳細を記録する。
3. 発熱や呼吸器症状が出た場合の対応を以下のように指導する。
  (1) すみやかに医療機関に連絡すること。
  (2) 医療機関から指導を受けるまで出勤しない。
  (3) 医療機関から指導を受けるまで人ごみを避ける。
  (4) 同居人、知人との接触は最小限に留める。

 

---------------------------------------------------


 
  IDSCホームページへ