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国家単位の感染症サーベイランス、コントロール、対策の強化に関する世界協議 ――要旨と提言――

2003/10/22-24 ジュネーブ原文


背景

国家の疾病サーベイランス、対策とコントロールシステムの強化には、特にネットワークの形成やパートナーシップを通じて、システムの機能補強、開発者の技術と資格の向上、上質の関連情報の交換と提供の向上、システムから得られた情報が容易に入手できることを確実にすることなどが含まれる。

各国はますます、疾病サーベイランス活動の統合は、国家的な対応能力を向上するための、効果的、効率的、維持可能な取り組みの方向と考えるようになっている。国家的な対応能力を付けて行くためには、現存の実践的計画とモデル、解決すべき問題点と制約を常に再評価することが、教訓や成果を確固たるものにすること同様に、必須である。

今回の世界会議は、WHOのすべての地域の代表加盟国の一部、各WHO地域事務所と本部、技術および経済的支援国、教育機関とサーベイランス・ネットワークから80名を超える参加者が集まり、2003年10月22−24日にジュネーヴで開催された。

目的

国家的サーベイランス、対応、コントロールのシステムの強化において、異なるモデルと手法を適用するための経験、教訓、課題、制約を共有する

国家的サーベイランス、対応、コントロールの能力を強化するための共通の枠組みと、その導入に推奨されるステップに必要な要因を特定する。


考察
効果的な地域あるいは世界的なサーベイランスにとって、強力な地方あるいは国家レベルのサーベイランスと対応力は必須のものである。そのプログラム特有の必要な事柄を考慮しつつも、既存のサーベイランスと一体化する形で実施することで、より効率良く、効果的かつ継続可能な能力として、国あるいは地方レベルでのデータ利用を改善する。異なるプログラムに渡るサーベイランスの調整には、高次の統率力を必要とする。サーベイランスと対応にかかわる人的資源を考えるに当たって、雇用前、雇用中そして長期の専門的訓練が重要である。末端、中間レベルの保健医療担当者の技術の向上は、効果的なサーベイランスには必須である。公衆衛生学的研究施設の能力強化が鍵となる要素である。支援、手技の標準化、実験機器や消耗品の供給、訓練を受けた検査技師の数の増強などが必要とされている。疾患特異的、そして多疾患に対する対応能力の強化とサーベイランス・ネットワークが、各国のサーベイランスに関する努力の価値を更に高める。

主提言

WHOは、既存のものに一体化する形で実施するサーベイランスの実施にあたり、国および地方のレベルで同様の手法を強化するため、プログラムの計画と国際あるいは地域レベルの導入に際し、指導的役割を提供し、すべてのレベルでの技術的相談を奨励しなければならない。

WHOおよび加盟各国は、現在進行中の疾患特異的なプログラムや、AIDS世界基金(Global Funds for Aids)、結核とマラリア世界基金(GFATM)、ワクチンと免疫に関する世界協調(GAVI)などのようなイニシアチヴを通じて、全国レベルのサーベイランスにより広い対応力が確実につくように、技術的、経済的およびその他の支援の調整を必ず行わなければならない。

WHOは政策の段階で、サーベイランスと対応に高い優先順位を設定する様に提唱する必要がある。各地域はそれぞれの地域委員会において、サーベイランス、対応、疾病コントロールの強化戦略を議題に取り上げるべきである。

WHOおよび加盟各国は、国レベルの経験を広く記載し、様々なモデルにおける費用、対費用効果、費用効率の分析を含む研究課題を設定するために用い、それによって他の国々がサーベイランス、対応、疾病コントロールの国家的能力を高める過程の指針を示すことができるようにしなければならない。

加盟各国は現在の法的枠組みを再考し、民間セクターや政府機関では無い機関の参加を含めて、サーベイランスの強化を一層支援すべきである。

WHOおよび加盟各国は、現存する雇用前教育、他の雇用中の訓練、長期的公衆衛生専門教育の中に、サーベイランスを組み込まなければならない。

WHOおよび加盟各国は、応用疫学訓練プログラムで現在用いられているような、一貫した能力の発揮を保障できるような訓練法を促進し、また、社会的貢献部門の支援とプログラム参加者の多国間流行対応チームへの参加機会の拡大も併せて振興すべきである。

加盟各国は、各国保健省間の、また教育施設間の連携を強化し、カリキュラムや訓練用資料の開発における協力体制を確実にする必要がある。

WHOは、公衆衛生研究所のサービス強化に各国が確実に全力を注ぐ様にしなければならない。

WHOは現在進行中の国レベルの対応能力の構築を支援するために、地域および準地域センターとネットワークを整備しなくてはならない。

WHOおよび加盟各国は、重要な疾患の検査による確定のための、国家対応能力の強化に寄与できる迅速診断検査法や他の技術の使用に関する研究を行うべきである。

WHOは、現在あるサーベイランス・ネットワークの一覧を作成し、それらの改善のためのガイドラインを作成するため、長所短所を文書化する必要がある。

WHOは、現在機能強化を行っている種々のネットワークとの情報交換を向上する機構を開発し、「世界的集団発生へのアラートと対応のためのネットワーク(GOARN)」と歩調を合わせて活動しなければならない。

WHOおよび加盟各国は、国毎の対応能力の強化に貢献するための世界的努力を推し進め、連携範囲を拡大して行くために、国レベルの連携の基準とその機構を明確に示す必要がある。

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(更新日:2003/11/17)