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世界保健会議 決議
  第56回世界保健会議(WHA56.19)
  議事録 14.14

2003/5/28 WHO

インフルエンザ パンデミックおよび毎年の流行の防止対策
WHA22.47およびWHA48.13を踏まえ、インフルエンザウイルスが毎年世界で、数百万人の罹患者を出し、最大100万人におよぶ致死的合併症を発生させていることが確認され、さらに、これらの多くが、高リスク群への、安全で非常に有効な現在あるワクチンの投与により防止可能であることが確認された。

WHOが調整役を果たしている、世界規模のインフルエンザサーベイランスにより、毎年のワクチン構成の決定がなされ、パンデミックへつながる状況の早期認知と、ワクチンの適時生産に関するWHOの協力を歓迎する。

発展途上国におけるインフルエンザの健康被害と経済的影響の大きさと、その実態把握が進んでいないことが懸念され、また最近の報告には、低栄養と健康不良、そして医療機関へのアクセスが悪いことが致死的合併症の発生率の高さと相関することが示唆されている。

更にまた、将来的なインフルエンザのパンデミックに対する国家的、世界的な事前対策が一般的に採られていないことが懸念される。特に、以前のようなパンデミックと高い致死率による避けることのできない社会的混乱や経済的影響は、短時間で国際旅行が可能となったこと、リスク人口が世界的規模で増加していること、第一線の抗ウイルス薬に対する薬剤耐性が生じる可能性などによって、増強されると考えられる。

ワクチン組成の改良、ワクチン製造能力の強化、抗ウイルス薬の入手機会の平等化、国家および世界のパンデミックプランの一部としてのサーベイランスの強化が必要であることが確認された。

各流行シーズンにおいてワクチンを有効利用することで、将来のパンデミック時に生産能力が需要に追いつくことを確実にし、パンデミック事前対策計画は、シーズンごとの流行に対し、死亡者数を抑えるだけでなく、より合理的で、費用対効果上効率よく対応するのに役立つ。

2002年5月にジュネーヴで開かれた“Global agenda on influenza surveillance and control”についてのWHOの世界レベルのインフルエンザサーベイランスと感染対策の優先事項に関する会議において、合意を見た事項により、季節的流行とパンデミックの両方に対する対策を強化する協調活動への計画が示された。(Weekly Epidemiological Record 2002; 77:179-182及び191-195を参照)

更にWHOのインフルエンザパンデミック対策計画とモデル計画を練り上げる意図から、以下の項目が示された。

1.加盟各国への要望
(1)国としてのインフルエンザ予防接種施策がある場合には、高齢者、基礎疾患のある人を含む、高リスクの人々に対する予防接種率を上昇させるための実地対策を確立し、導入し、高齢者人口における予防接種率の目標である2006年に最低50%、2010年に75%を達成する
(2)国としてのインフルエンザ予防接種施策がない場合には、毎年の流行におけるインフルエンザの疾病実態と経済的影響を評価し、これを枠組みの基準とし、他の国家的な保健施策と同様インフルエンザ予防施策を導入する
(3)国ごとのインフルエンザのパンデミックプランを起草し、実施する。特に、“Global agenda on influenza surveillance and control”に概要が示されたように、ワクチン、抗ウイルス薬や他の必須の薬剤の適切な供給があることに、配慮する
(4)国ごとのサーベイランスや検査態勢の強化により、また、必要な場合は国家のインフルエンザセンターの援助を得て、流行とパンデミックに対する対策を強化する
(5)インフルエンザワクチンの改良、有効な抗ウイルス薬の開発、特に発展途上国における使用において安定性があることに留意し、長期保存が可能で、全てのインフルエンザ株に対して予防効果のあるインフルエンザワクチンの組成を得るための研究開発援助を行う

2.事務総長への依頼
(1)国連の他の機関を初め他の機関と連携し、インフルエンザ対策を進める
(2)世界的課題であるインフルエンザの流行、パンデミックへの事前対策におけるサーベイランスと感染防止対策の優先活動目標におけるリーダーシップを引き続き取る
(3)インフルエンザの実態把握と経済的影響の把握について、また、適切なインフルエンザ予防に関する国家的ポリシーを導入することについて、発展途上国への援助を行う
(4)季節的流行とパンデミックへの対策として、世界的なインフルエンザサーベイランスを強化する
(5)ワクチンと抗ウイルス薬の需要量の推計のガイダンスを含め、加盟各国の国家パンデミックプランの作成に技術的援助を提供する
(6)国際、国家的協力機関および民間と協力し、インフルエンザワクチンや、抗ウイルス薬の、世界的な不足と不均等配分の問題の解決方法を探り、流行あるいはパンデミック時のために、より安価に入手できる方法を探求する
(7)経過を逐次、運営委員会あるいは保健会議に報告する


第10回総会
2003年5月28日
A56/VR/10

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(更新日:2003/9/4)