国立感染症研究所 感染症情報センター
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風疹および先天性風疹症候群 風 疹 Q&A


思春期・成人の予防接種

成人女性が風疹ワクチンを受ける場合に注意することがあると聞きました。それは何でしょうか。

妊娠可能年齢の女性に風疹ワクチンを接種する場合には、妊娠していない時期(生理中またはその直後がより確実)にワクチン接種を行い、その後2ヶ月間の避妊が必要です。

風疹ワクチンは、大変安全なワクチンで、妊娠中に風疹ワクチンを接種されたため胎児に障害がでたという報告はこれまで世界的にもありませんが、その可能性は理論的にまったく否定されているというわけではありませんので、上記の注意が必要です。

成人男性に予防接種を行なう必要はありますか?

これまで風疹予防接種を受けたことがない場合は、なるべく早く予防接種をうけることをお勧めします。その理由は20代から40代の男性の4−5人に1人は風疹の免疫を持っていないと考えられるからです。大人が風疹にかかると、発熱や発疹の期間が子供に比べて長く、関節痛がひどいことがよくみられます。一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。また、脳炎、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などの軽視できない合併症をまれにおこすことがあります。

また、男性が風疹にかかると、妊娠中の女性が近くにいた場合、風疹をうつし、その赤ちゃんが先天性風疹症候群となって生まれる可能性があります。

自分と家族、そして周りの人々を風疹とその合併症から守り、生まれてくる赤ちゃんを先天性風疹症候群から守るためにも、これまで風疹の予防接種を受けたことがない場合は、成人男性でも可能な限り早く接種をうけるようにして下さい。

こどもの時に風疹にかかったと親にいわれていますが、この場合予防接種をうける必要はありますか。

これまで風疹の予防接種をうけたことがないのなら、なるべく早く予防接種をうけることをお勧めします。すでに風疹にかかったとの記憶のある人達に血液検査を行ったところ、約半分は記憶違い、または風疹に似た他の病気にかかっていたという調査結果もあります。風疹にかかったことが血液検査などで確かめられていない場合(風疹にかかった記憶だけの場合や、医療機関を受診していても症状だけからの診断で、診断が血液検査によって確認されていない場合など)は必ずしも信頼できません。


たとえあなたがこれまで風疹にかかっていたとしても、予防接種をうけることによって特別な副反応がおこるなど、問題がおこることはありません。過去に風疹に感染していても、今、予防接種を行うと風疹に対する免疫をさらに強化する効果が期待されることもあるのでより安心です。

これまで風疹の予防接種を受けたという記録がありません。この場合予防接種をうけるべきなのでしょうか。

予防接種をうけたことが記録で確認されていない場合、男女ともなるべく早く接種することをお勧めします。血液検査で十分高い抗体価があることが確認された場合にはこの必要はありません。

たとえあなたがこれまで予防接種をうけていたとしても、または風疹にかかっていたとしても、再度予防接種をうけることによる特別な副反応がおこることはありません。過去に風疹の予防接種を受けていても、今予防接種を行うと風疹に対する免疫をさらに強化する効果が期待されることもあるのでより安心です。

風疹の予防接種の前には、まず風疹の抗体検査(風疹に対する免疫があるかどうかの検査)をうける必要があるとききましたが、2度も医療機関にゆくのは時間的に大変です。

抗体検査を受け、十分高い抗体価があることが確認された場合には、予防接種を受ける必要がなくなります。しかし、抗体価が低い場合(一般にHI抗体価が16以下の場合)は予防接種が必要になります。

時間のない場合は、予防接種の前の抗体検査は必ずしも必要ありません。風疹の感染または過去の風疹の予防接種によってすでに免疫を持っている方が再度接種を受けても、特別な副反応がおこるなどの問題はありません。そのような方の場合、予防接種を行うことで風疹に対する免疫をさらに強化する効果が期待されることもあります。

大人が予防接種をうけるにはどこに行けばよいのでしょうか。

まずお近くの小児科医に相談することをお勧めします。最寄りの保健所や、地域の医師会に問い合わせるのもよいでしょう。

妊娠と風疹

現在妊娠がわかったばかりの妊婦ですが、これまで風疹の予防接種をうけたことがありません。家族に風疹の予防接種を受けてもらうべきでしょうか。

妊婦の家族内に、「ワクチン接種の記録」または「風疹の確実な罹患歴(症状のみからの診断ではなく、抗体検査などによって確認されたもの)」がない方がいる場合には、その方から妊婦に風疹をうつしてしまう可能性があります。これを防ぐために、家族の方は出来るだけ早く接種をうけることが勧められます。(なお、妊婦が風疹の予防接種をうけることはできません。)

家族に妊婦がいる場合、風疹ワクチン接種を受けてもよいでしょうか。接種をうけた者から妊婦に風疹ワクチンのウイルスがうつる可能性はありませんか。

その心配はまずないと言ってよいでしょう。風疹ワクチン接種後3週間以内に、接種をうけた人ののど(咽頭)から一過性にワクチンウイルスの排泄が認められることがありますが、ワクチンウイルスが周囲の人に感染したとの確かな報告はこれまでにありません。むしろ、接種を受けていない家族が自然感染を受け、そこから妊婦が感染を受けるほうがリスクは高いと考えられます。(なお、妊婦自身は風疹の予防接種をうけることはできません。)

現在妊娠初期にあります。これまで風疹にかかったかどうかはわかりませんが、風疹予防接種の接種記録は持っています。妊娠中に風疹にかかる可能性はないと考えてよいでしょうか。

予防接種をうけた記録があるので免疫をもっている可能性が高く(風疹ワクチンの効果は95−99%)、現在風疹にかかる可能性は極めて少ないと考えられます。しかし、予防接種を受けた人に免疫がつかないことがまれにあります。そのため風疹患者と密接な接触をすると、感染する可能性が完全には否定できません。念のために、妊娠初期に行なわれる風疹抗体価検査の結果をもとに、かかりつけの産婦人科医に相談してください。

妊娠初期の検査で風疹抗体価が十分高くないという結果でした。妊娠中に風疹感染を予防するにはどのような注意をしたらよいでしょうか。
妊娠中とくに妊娠初期は、風疹にかかっている可能性のある人との接触は可能な限り避けてください。また、風疹にかかっても無症状の人がいます。家族の中にワクチン接種記録、または風疹の確実な罹患歴(抗体検査などによって確認されたもの)のない方がいる場合、その方は至急風疹ワクチンの接種をうけるようにしてください。詳しいことは、かかりつけの産婦人科医に相談してください。(なお、妊婦が風疹の予防接種をうけることはできません。

予防接種の安全性

風疹予防接種の副反応にはどのようなものがありますか。

風疹ワクチンは、副反応の少ない非常に安全なワクチンの一つです。しかし、重大な副反応として、まれにショック、アナフィラキシー様症状、全身のじんましんの報告があります。また、まれに(100万人接種あたり1−3人程度)急性血小板減少性紫斑病が報告されています。また、厚生労働省健康局結核感染症課による予防接種後副反応報告書集計報告書によると、風疹の予防接種をうけたあとに副反応の可能性が疑われて入院した例は、平成14年年度に接種を受けた約124万人に対して5件報告されています。

その他の副反応として、発疹、紅斑、掻痒、発熱、リンパ節の腫れ、または関節痛などをみることがあります。成人女性に接種した場合、子供に比して関節痛を訴える頻度が高いといわれています。

麻疹(はしか)と風疹の予防接種を同時に受けて問題ないでしょうか。

問題ありません。国内では麻疹ワクチンと風疹ワクチンは現在(2004年9月現在)混合ワクチンではなく、別々になっていますが、このようにあらかじめ混合されていない2種類以上のワクチンでも、接種する医師の判断と接種をうける者の了承のもとに同時に接種することができます(平成15年11月28日健発第1128002号厚生労働省健康局長通知「予防接種(一類疾病)実施要領」第一の18の(2))。

世界的には、可能な場合は複数の予防接種を同時に接種することが推奨されています。麻疹と風疹のワクチンを同時接種することには、1)別々に接種するための待ち時間がなくなり、早く免疫があたえられ、2)何度も接種をうけに行く必要がなくなるという大きな利点があります。

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