国立感染症研究所 感染症情報センター
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2003年および1999年4月からの髄膜炎菌性髄膜炎


 髄膜炎菌性髄膜炎は1999年4月施行の感染症法にて4類感染症全数把握疾患に規定され、さらに2003年11月5日施行の感染症法改正で5類感染症となった。ここでは、検査によりNeisseria meningitidisが起因菌と判定された急性化膿性髄膜炎が報告されている。2003年の報告数は第48週の時点で17例と例年に比べて多い傾向があるが(図1)、はじめにそれらの17例の集計結果を述べ、さらに1999年4月からの累積データの集計結果も示す。

 2003年の都道府県別の報告数としては、神奈川5例、東京4例、大阪2例で、他に栃木、京都、鳥取、福岡、大分、宮崎が各1例であり、神奈川県からの報告が多かった。発症日については、1〜3月9例、4〜6月3例、7〜9月4例、10〜12月1例で、1〜3月の報告が多かった。年齢は0〜72歳に分布し、内訳は0歳4例、17歳1例、20代3例、30代2例、40代2例、50代1例、60代2例、70代2例であり、0歳の報告が多かった。男女別では男11例、女6例と男性の方が多かった。症状としては5例に意識障害、3例に敗血症の記載があった。死亡例は報告されていないが、その後に生じた死亡例が追加報告されていない可能性もある。推定感染地については14例が国内感染、3例が不明であった。菌の型別の記載はA群1例、B群1例のみであった。

 1999年4月からの累積データにつき、年月別・推定感染地別の集計結果を図2に、年齢別・性別の集計結果を図3に示す。

図1.髄膜炎菌性髄膜炎の年別報告数 図2.髄膜炎菌性髄膜炎の年月別・推定感染地別報告数 図3.髄膜炎菌性髄膜炎の年齢別・性別報告数(1999年4月-2003年第48週)

 本疾患は世界的には、アフリカのいわゆる“髄膜炎ベルト”での特に乾季における発生、サウジアラビアでのイスラム教巡礼(Haj)参加者での発生が知られている。しかし最近、先進国に滞在する日本人が本疾患患者からの暴露を受けたので、しかるべき対応を取るようにとの連絡が当該国から寄せられたり、暴露を受けた者に対するガイドラインが各国で作製されるなど、先進国においても本疾患に注意がなされている。我が国においても過去の疾患として考えるのでなく、国内感染、国外感染の両者につき監視を続ける必要がある。そのため本疾患の報告に当たっては、推定感染地を正確に記載し、菌の型別を依頼してそれが判明した時点での追加報告、不幸にして死亡した場合の追加報告などを切にお願いするものである。




IDWR 2003年第50号「速報」より掲載)



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