国立感染症研究所 感染症情報センター
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Q5. 新型インフルエンザにかかった場合には、どのような症状がでますか?

Q6

  インフルエンザは本来、その症状の幅が非常に大きい疾患であり、20世紀に起こった3回のインフルエンザ・パンデミックでも、インフルエンザの重症度および発生状態の特性はそれぞれ異なっていたと考えられます(Q2 過去のインフルエンザ・パンデミック参照)。しかしその基本的な症状は、通常のインフルエンザと大きく異なっているわけではなく、突然の発熱に代表される全身症状と呼吸器症状です。特にスペインインフルエンザでは、通常よりも5〜20倍高い致死率であり、しかも若年層を中心とする特定の年齢層において重症化しやすかったことがわかっています。スペインインフルエンザも含めて、ウイルス性肺炎や細菌性肺炎を起こして呼吸不全により死亡する例を除けば、それらのほとんどは季節性のインフルエンザと区別の付かない通常のインフルエンザ様症状であったとされています(Taubenberger JK, Morens DM. 2006.)。なぜこのようにある年齢層は重症化して、ある年齢層では通常のインフルエンザ様症状ですんだかの理由はスペインインフルエンザウイルスのウイルス自体の特徴によるものかもしれないと言われていますが、これらを解明するためには、宿主あるいは環境の因子の検討が不可欠です。

 以上のようなことから、今後おこりうる新型インフルエンザの流行の際に、どのようなインフルエンザの症状が現れるか、またどのような集団で重症化の傾向が強いかなどについては、流行するウイルスの特徴にもよりますので、現時点での予測は非常に難しいものがあります。実際にパンデミックが起こった際に、インフルエンザの特徴とその流行の変化を早くとらえ(これを行うことをサーベイランスといいます)、また、速やかに患者からの臨床情報を調査、集約して、それらを共有し、それに合わせて迅速な治療や対策をとることにより対処してゆくことになります。






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