「警報・注意報発生システム」とは

 

 厚生労働省・感染症サーベランス事業により、 全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診した インフルエンザ患者数が週ごとに把握されています。 過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、保健所ごとにその基準値を超えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。

 


流行レベルマップの見方
    国立感染症研究所感染症情報センターでは、インフルエンザ流行に 関連する参考情報として、この「警報・注意報発生システム」により 得られた情報の一部を還元提供いたします。具体的には、都道府県ごとに警報レベルを超えている保健所があれば赤色系3段階で、注意報レベルを超えている保健所があれば黄色系3段階で示してあります。色の段階は各都道府県の保健所数に対して警報・注意報レベルを超えている保健所数の割合です。また、都道府県ごとに全保健所数と警報・注意報レベルを超えている保健所の数を見ることもできます。

 

警報・注意報レベルを超えている保健所数の割合

警 報

大きな流行の発生・継続が疑われることを示します。

71 ---> 100%

 

31 ---> 70%

 

1 ---> 30%

 

注意報

流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを、流行発生後であればその流行がまだ終わって いない可能性があることを示します。

71 ---> 100%

 

31 ---> 70%

 

1 ---> 30%

 

警報発生のねらいと見方
  本警報システムのねらいは、感染症発生動向調査における定点把握感染症のうち、公衆衛生上その流行現象の早期把握が必要な疾患について、流行の原因究明や拡大阻止対策などを講ずるための資料として、都道府県衛生主管部局や保健所など第一線の衛生行政機関の専門家に向け、データに何らかの流行現象がみられることを、一定の科学的根拠に基づいて迅速に注意喚起することにあります。
 警報には、流行発生警報と注意報の2種類があります。警報の意味は、大きな流行が発生または継続しつつあることが疑われるということです。注意報の意味は、流行の発生前であれば、今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があるということ、流行の発生後であれば流行が継続している(終息していない)可能性が疑われることです。 ほとんどの感染症では、時間の経過とともに流行が地域的に拡大あるいは移動していくものであり、流行拡大を早期に探知するためには、小区域での流行状況を広域的に 監視することが重要です。本警報システムでは、当該保健所とともに、当該都道府県 内の全保健所の警報発生状況、全国の警報発生状況を提供しています。


警報発生の仕組み
  警報は、1週間の定点あたり報告数がある基準値(警報の開始基準値)以上の場合に発生します。前の週に警報が発生していた場合、1週間の定点当たり報告数が別の基準値(警報の継続基準値)以上の場合に発生します。注意報は、警報が発生していないときに、1週間の定点あたり報告数がある基準値(注意報の基準値)以上の場合に発生します。
 警報の基準値は、過去5年間の流行状況(全国の定点を有する保健所数×5年間×52週;インフルエンザと小児科定点では延べ約17万週、眼 科定点では延べ約7万週)の中で、一連の警報発生の起こる確率が1%程度になるよう に定めたものです。注意報の基準値は、警報発生後の注意報を除いて、警報発生前の 4週間に注意報が出る確率を約60〜70%、警報が発生しない期間に注意報が出ない確率 を約95〜98%、注意報が出た場合にその後4週間以内に警報が出る確率(注意報の的中率)を約20〜30%になるように定めています。疾患ごとの警報・注意報の基準値を以下に示します。

 警報対象疾患

流行発生警報

流行発生注意報

開始基準値

継続基準値

基準値

インフルエンザ 

30

10

10

咽頭結膜熱 

1.0

0.1

-

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

4

2

-

感染症胃腸炎  

20

12

-

水痘 

7

4

4

手足口病  

5

2

-

伝染性紅斑

2

1

-

突発性発疹

4

2

-

百日咳

1.0

0.1

-

風疹 

3

1

1

ヘルパンギーナ

6

2

-

麻疹

1.5

0.5

0.5

流行性耳下腺炎

5

2

3

急性出血性結膜炎

1.0

0.1

-

流行性角結膜炎

8

4

-

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 なお、基準値はすべて定点当たりの値です。また注意報の数字が入っていないものは、注意報の対象外という意味です。