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高病原性鳥インフルエンザ

WHO 更新情報
  鳥インフルエンザ−中国における状況−更新13

    2006年8月8日 WHO(原文


中国政府保健省は、2003年11月に起こったH5N1のヒト感染症例を本日さかのぼって確認した。症例は北京駐在の24歳の軍関係者であった。この男性は2003年11月25日に発症し、肺炎により北京の病院に入院した。病状は急速に悪化し、重症呼吸器疾患で同年12月3日に死亡した。

この確認により今回の症例は、知られる限りにおいて中国本土における最初のH5N1ヒト症例となり、現在の一連の集団発生における最初のヒト確認症例となる。これまで最初の確認症例は2003年12月にベトナムでおこったと考えられてきた。

今回の症例は、軍関係の中国人研究者による2006年6月のNew England Journal of Medicine 誌へ投稿されたレターで初めて報告された。このレターによると、医師たちはこの男性はSARSウイルスに感染している可能性があると当初考えていた。WHOは2003年7月にSARS流行の収束を宣言していたが、SARSウイルスは寒冷な月になるとまた出現するのではないかという疑いは強かった。

患者が死亡する前に採取された検体はSARS感染の検査で陰性であったが、死因は不明のままであった。報告されたレターにあるように、男性から採取し保管されていた検体にH5N1感染の検査を行ったところ陽性となった。その検体からのH5N1ウイルス分離も成功したことが報告された。

この男性の疾患は最初SARSと考えられていたので、家禽への曝露歴の可能性については調べられなかった。H5N1鳥インフルエンザの流行は北京ではこれまで報告されておらず、H5N1の感染源はいまも不明である。

中国政府保健省は、この患者のH5N1検査とその結果については研究レターが発表されるまで知らなかったとWHOに通知した。WHOの勧告に沿って、保健省の関連実験施設において確認検査が行われた。WHOは公式依頼に基づき、検査を行っている中国側の専門家と協議するために実験室検査の専門家を派遣した。7月後半に共同作業がおこなわれ、男性がH5N1に感染していることが確認された。この所見は専門家の委員会で再検討され、男性のH5N1感染は検査確認されたと結論づけられた。

今回の症例の報告の前の時点では、中国本土におけるH5N1感染の実験室公式確認例は、湖南省の2005年10月の症例であり、WHOには2005年11月中旬に報告されている。

今回の症例はWHOの累積確認例の表に加えられた。今回さかのぼって確認例が出たことで、中国における累積症例数は20例になる。うち、13例が死亡している。

中国政府保健省は、情報交換のメカニズムを今後強化し、国内のより多くの研究機関が症例報告システムに組み込まれるようにする意図があることをWHOに通知した。公式依頼に基づいて、WHOはこれらの活動において支援と助言を提供する。

(2006/8/10 IDSC 掲載)

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