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高病原性鳥インフルエンザ

WHO 更新情報
  鳥インフルエンザ−アゼルバイジャンにおける状況

    2006年3月10日 WHO(原文


3月初旬以来、アゼルバイジャンの保健省は10人の小集団をH5N1亜型鳥インフルエンザウイルス感染の可能性があるとして観察下に置いている。この人々はすべて、同国東部のSalyan 地区にあるDaikyand集落に住んでいる。

Salyan 地区は渡り鳥がしばしば訪れる湿地帯の近くに位置している。Daikyand集落においては最近家禽の死亡が報告されているが、その死亡の原因はまだ特定されていない。近所同士の2人の若い女性が1週間を隔てずに死亡した時に、調査が開始された。第1例目は17歳の女性で2月23日に死亡した。この女性は、腫瘍疾患に関連する呼吸器症状を1年以上も患っていたと報告された。今ではこの女性の死亡は、以前から存在したその疾患に起因するものであると考えられている。念のために検体が採取され、H5N1の検査のためイギリスにあるWHO協力研究施設に送付される。

第2例目の死亡は20歳の女性で3月3日のことであり、その女性は急速に進行する急性肺炎により死亡したが、それはH5N1感染の多くの症例に特徴的な所見である。

第2例目の死亡の直後に、同国保健省は4つの病院スタッフからなるチームにより毎日の家から家へ巡回する調査を行ない、呼吸器症状や発熱を呈する人がその集落にいるかどうかを探した。その結果、さらに8人が観察目的で入院させられた。そのうち6人は軽い症状のみを呈していた。これらの人々は完全に回復し、今では退院している。

残りの2人のうち1人(17歳女性)は3月8日に死亡した。16歳の男性は入院中で隔離されている。容態は重体である。

同国保健省の対応は迅速であり効果的であったが、対応に不可欠な器材や物資のいくつかがなかったことと、検査能力が適切でなかったことが障害となった。この事例の前に、保健省のスタッフは国内各地域の衛生疫学部局を訪問し、鳥インフルエンザに対する高度の認識とそれに対応して異常な呼吸器疾患の患者が出る可能性に対する高度の警戒体制を構築した。家から家へ巡回し症例を探査する活動は続けられている。

現地のニーズを評価し保健当局に対する技術的支援を提供するために、WHOのチームが現在アゼルバイジャンにいる。チームは実験器材や診断試薬を含めた専門家と資材に関して月曜日に増強される。検体は地域当局者によって収集されており、WHO関連の研究施設への発送は来週早々にも行なわれるであろう。抗ウイルス薬・オセルタミビルはアゼルバイジャンで利用可能であるが、量に限りがある。現在までに、観察下に置かれた患者はすべてこの薬剤による治療を受けた。

高病原性H5N1亜型鳥インフルエンザは、首都バクー近郊の沿岸地域で発見された野鳥において、2月9日に初めて確認された。2月24日にアゼルバイジャンは、Khyzy(北東部)とBilasuvar(Salyan の近く)の農場において家禽から感染を検出したと発表した。その結果、約30万羽が殺処分された。

(2006/3/13 IDSC 掲載)

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