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高病原性鳥インフルエンザ

WHO 更新情報
  鳥インフルエンザ−ニジェールにおける家禽の状況

    2006年2月28日 WHO(原文


高病原性H5N1亜型鳥インフルエンザがニジェールの家禽で確認され、サハラ砂漠以南のアフリカで2つめの国へウイルスが拡散したことを示している。

2月中に、ナイジェリア国境に近い2つの行政地区での5件の集団発生において、鶏とアヒルの多数の死亡が認められた。これら2つの地区のうちの一つであるMagariaやDan Bardeで死んだ鳥から採取された検体に関して、陽性の検査結果が昨日報告された。ニジェールにあるWHOのオフィスのスタッフは本日、H5N1亜型感染の可能性を調査しているヒト症例は現在のところ一例もないことを報告した。

隣接するナイジェリアでは、2月8日に北部での集団発生が公式に確認されているが、それよりほぼ1カ月早く始まっていたことが今では知られている。ニジェールで鳥インフルエンザウイルスが検出されたことにより、集団発生の検知が遅いこと、国境を越えて鳥が自由に流動していること、鳥インフルエンザを意識している人々が少ないことなどの西アフリカにおける状況が、別の国への拡散に寄与するであろうという恐れが確認された。

鳥インフルエンザの影響を受けた全ての国々での経験は、検知が遅く制圧対策の導入が遅れた場合にいかにたやすくしかも迅速にウイルスが鳥の間に根付いてしまうかを示している。

ナイジェリアの北部にあるKano州は、ニジェール国境に近いが、今やおよそ51の農場がウイルス感染の影響を受けていることが知られている。ナイジェリアでは現在までに4人がH5N1感染の可能性に関して調査された。現地での検査によりこのうち3人において感染が除外され、その中には1人の死亡例も含まれている。

いくつかの他のアフリカの国々における集団発生が現在調査中である。アフリカの大部分において、動物やヒトでの鳥インフルエンザに対する早期警戒システムの欠如、不適切な診断能力、診断確定のための国内外への検体輸送の困難さによって、集団発生の迅速な検知と調査が阻害されている。

ヒトと家禽の密接な接触を考えると、アフリカで鳥インフルエンザの影響を受けた地域においてヒト症例が発生しているかもしれないという懸念が大きい。研究施設における研究によると、現在ナイジェリアで流行しているウイルスは今年の初めから他の地域でヒト症例や死亡例の原因となったウイルスとほぼ同一である。

アフリカ大陸は約11億羽の鶏がおり、そのほとんどが裏庭で飼うシステムになっている。農村の貧困に悪影響を受けた伝統的な習慣により、家禽に病気の兆候が現われた際に鳥を殺処分して消費することが行なわれる。こういった行動はヒトの曝露や感染に対して高いリスクがある。アフリカのほとんどの国では商業的家禽農場で働く獣医師のインフラを持っているが、農村地域まで広げたそのようなインフラを持っている国は少ない。

アフリカで更に別の地域にウイルスが拡散することは、ヒト症例を発見・診断・調査・管理する能力の限られている状況においてヒト症例が発生する機会を拡げることになるであろうと、WHOは懸念している。ヒト症例が発生するたびに、鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトへと容易に拡散する形に進化する機会を与える。


(2006/3/1 IDSC 掲載)

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