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WHO 更新情報
  鳥インフルエンザ−ベトナムにおける状況−更新24

    2005年6月30日 WHO(原文


WHOは先週、ベトナム保健省の求めに応じて、最近の症例の検査および疫学データを評価し、現在のパンデミックアラート(警戒状態)のレベルを引き上げる必要があるかを判断するために、国際的専門家のチームを派遣した。ヒトの臨床検体における鳥インフルエンザウイルスの検査に豊富な経験を有する研究者が、オーストラリア、カナダ、香港特別行政区、日本、英国、米国の研究施設からこのチームに選ばれた。

このチームは水曜日に作業を終え、ベトナム政府に対して予備調査結果を提出した。彼らは、ヒトへの感染がより高頻度に起こっている、あるいは、ウイルスがヒトの間にすでに広がってしまっていることを示唆する、検査上の証拠をまったく発見しなかった。現在のパンデミックアラートのレベルは2004年1月に設定されているが、引き続き変わらない。

現在巷間に流れているいくつかの情報は、WHOがパンデミックの危機に対する評価を下げたと示唆しているが、それには根拠が無い。先の専門家らは、マニラで5月初旬に開催されたWHOの国際専門家会議原文)において初めて提起された懸念を、証明することができる科学的根拠について調査するように特に依頼された。この会議では主として疫学的所見に基づき、H5N1亜型インフルエンザウイルスの挙動が、十分に効率的とは言えないまでも、ひとりのヒトから他のヒトへと直接に感染拡大する能力を強めているとして矛盾しないものへ変わっていることを示唆する発見について検討した。この検討対象となった特定の疫学的所見には、より広範囲の年齢層に渡って軽症例が見られることや、時間と場所がより密接に関連している症例のクラスター(集積)が多く見られるようになったことが含まれていた。

最近になって、ベトナムで活動している国際的専門家による臨床検体の検査結果から、ウイルスがより広範囲に広がっていることを一層強く示唆する証拠が示され、市中感染の可能性が提起された。しかし、今回の調査チームによって、これらの所見を確認することはできなかった。

感染伝播能力の向上を示す、確固たる証拠があるとしたら、パンデミックアラートのレベルをより高次のものへ引き上げる根拠となる。そのような変更がもたらす影響は非常に大きいために、WHOは新しい症例に対する警戒を高めることと、感染伝播を示唆するような知見が見られる場合には直ちに国際的な検証を実施することを組み合わせた、慎重な対策をとっている。

臨床検体からのH5N1亜型の検出は技術的に難しく、誤った結果が出やすい傾向にあるため、調査チームの成員は現地検査のために最新の検査装備をハノイへ持参した。検査はWHOが承認した試薬とプライマーを用いて行われた。

この最初の結果は不安を解消するものであったが、リスク評価のための最も信頼性の高い根拠を提供するために、続く数週間のあいだに臨床検体の再検査がさらに続けられる予定である。


(2005/7/1 IDSC 掲載)

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