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鳥インフルエンザA(H7)のカナダにおけるヒト感染

 2004年4月5日 WHO(原文

 

ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州における最初の鳥インフルエンザA(H7)感染例は、3月13〜14日に感染鳥の殺処分に関わった人の中から発生した。この症例は3月13日に、偶発的な事故により眼に曝露を受けた。3月16日には結膜炎と鼻汁の発症を報告し、3月18日に、A型のインフルエンザ・ウイルスに有効なリン酸オセルタミビルによる治療が開始された。3月30日にはカナダ保健省(Health Canada)が、この症例が鳥インフルエンザA(H7)感染例であるとの結論に達した。カナダ保健省はこの症例について、3月31日にWHOへ報告した。この症例の症状は完全に消失している。

WHOは4月2日にカナダ保健省から、鳥インフルエンザA(H7)感染例と特定されたブリティッシュコロンビア州の二人目の養鶏場労働者についての報告を受けた。この労働者は感染鳥と密接な接触をした後に、3月25日に結膜炎を発症した。この症例は3月25日にオセルタミビルによる治療を受け、症状は消失した。

カナダ保健省により提供されたこの疫学的情報に基づき、世界保健機関(WHO)は本日、カナダの集団発生に対して世界規模流行対策基準(global pandemic preparedness level)を0.1から0.2へ引き上げた。

世界規模流行対策基準は、それぞれの地域で発生した事例の疫学的状況によって決定される。レベル0.2とは、その地域の発生事例においてインフルエンザの新亜型によって、ひとり以上のヒト症例が発生した場合である。

アジアでは、他の亜型のトリ・インフルエンザウイルスA(H5N1)は34例の報告されたヒトの発病と23例の死亡を引き起こした。アジアにおける鳥インフルエンザの現在の世界対策基準0.2には、引き続き変更は無い。

対策基準は、1999年にWHOによって確立されたマトリックスに組織化された(WHO Influenza Pandemic Preparedness plan)。対策基準が0.2に引き上げられた場合、感染が広がった国々には、感染した家禽に曝露したヒトに対するサーベイランスを強化し、新型のウイルスへの理解を深めるために特別研究を組織し、感染リスクのある人々に予防装備の着用を推奨し、抗インフルエンザ薬や通常のヒトのインフルエンザワクチンの使用を考慮することが勧奨される。

WHOはカナダが、現在発生しているブリティッシュコロンビア州の鳥インフルエンザ(H7)の集団発生に対して、必要とされる対策をすべて取ったという報告を受けた。

  この鳥インフルエンザA(H7)に対する新たな世界的規模流行対策基準はまた、WHOがウイルスの入手、その同定、診断やワクチン開発に必要な事項の検討といった、一連の活動を開始することも意味する。

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(2004/4/8 IDSC掲載)