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高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)−更新20

 2004年2月9日 WHO(原文

 



ベトナムの(ヒトの症例)状況

診断検査によりさらに3例のH5N1感染症例がベトナムで確認された。3例すべてが、ホーチミン市(Ho Chi Minh City)の病院に入院している。

新たに確定した症例は、2月3日に死亡した6歳の小児、やはり2月3日に死亡した24歳の男性、依然入院中の23歳の男性である。

すべて合わせてベトナムから、18例の検査による確定症例が報告され、このうち13例が死亡している。

世界の概況:公衆衛生上の懸念

− 現時点でアジア8ヵ国から報告のある家禽類におけるH5N1型鳥インフルエンザの集団発生はその規模、地理的広がり、農業分野への経済的影響において歴史的に前例が無い。

− この地理的領域の家禽類の間で、H5N1型の株が定着するリスクは非常に大きい。

− 鳥の感染は遠方まで拡大する可能性がある。

− 本日までに、ヒト症例の報告は2ヵ国からだけである。ベトナムとタイの両国で、ともに家禽類での感染は広範囲に広がっている。

− 家禽類での集団発生が拡大している他の国々でもまた、ヒト症例が検知されることが予期される。

− 本日までに分かっている事実から、H5N1型の株は容易に家禽類からヒトへ感染伝播するわけでは無いことが示唆される。

− インフルエンザウイルスは遺伝的に不安定で、その変化は予測できない。現在の状況は急速に変化する可能性がある。

− 経済的に重要な農業分野に影響を及ぼす、あるひとつの疾患が、ヒトの健康へも危険を及ぼす場合には、その危険を予測はできないながらも、消費者の信頼を維持したいためにヒトへの危険を過少評価してはならない。

− 家禽類での疾病制圧を目標とした対策はまた、ヒトの曝露と感染の機会を減少させる。これらの対策は、ヒトの健康の保護に最高の優先順位をおいて、緊急に実施されなければならない。

訂 正

2月6日にWHOは、ベトナムのひとつの家族内クラスター(患者の集積)に属するふたりの姉妹から分離されたH5N1型ウイルスのシークエンス(塩基配列:genetic sequence)の結果を報告した。金曜日にWHOによって発表されたシークエンスによると、ふたつのウイルスはともに完全にトリ・インフルエンザウイルス由来で、ヒト・インフルエンザウイルスの塩基配列は含んでいなかった。これは、ウイルスがひとりの人から他の人へ感染伝播し易くなる形の適応をしていないことを示唆していた。

WHOは本日、ふたりの姉妹から分離されたウイルスのシークエンスが行われたのではなく、ひとりから分離されたウイルスについてシークエンスが行われたことを知った。2番目のウイルスのシークエンスの報告は、ベトナムからの別の症例のものであった。

姉妹のもうひとりからのウイルスのシークエンスは今週行われる。

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(2004/2/10 掲載)