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高病原性鳥インフルエンザ

WHO 更新情報
  鳥インフルエンザ−エジプトにおける状況−更新

    2007年1月18日 WHO(原文


エジプトで以前に報告されたH5N1感染の2人において、オセルタミビルへの感受性が中等度低下するという実験室検査結果に関連した遺伝子変異をもつウイルスが発見された。いずれの患者も、ウイルスが分離された臨床検体が採取される前2日間、オセルタミビルによる治療を受けていた。

検体を採取された2人の患者は、エジプト・Gharbiyah県の16歳の女性と26歳の男性である1]。2人はめいと叔父の関係にあり、同じ家に住んでいた。女性は2006年12月19日に病院へ入院し、男性は12月17日に入院した。12月21日に2人はオセルタミビルを1日2カプセル飲み始めた。23日に2人は高次病院へ移送された。現在までに検査された検体は、12月23日に2人の患者から採取された。女性は12月25日に死亡し、男性は12月28日に死亡した。

今回とその他すべてのH5N1に関する調査において、エジプト保健・人口省とWHOの間で密接で継続的な協力を行っている。H5N1の初期診断を可能にしたのは、エジプトの監視体制と、カイロの中央公衆衛生研究所で実施された迅速なウイルス学的分析である。確認検査と遺伝子配列決定は、NAMRU-3(アメリカ海軍医学研究ユニット3)と、アメリカ合衆国・アトランタおよびイギリス・ロンドンにある2つのWHO協力センターにて行われた。

現時点で、オセルタミビル耐性がエジプトや他の場所で広範囲に拡大していることを示す徴候はない。WHOは2006年6月に発行したH5N1ヒト感染に対する抗ウイルス薬治療の勧告 [pdf] に対していかなる変更をも行わない。なぜなら、これらの変異による臨床的な耐性の度合いが十分に確立されていないからである。現在の実験室検査は、感受性の減弱のレベルが中程度であることを示唆している。この変異は2005年にベトナムの1症例において以前に同定されている。さらに、これらの変異はヒトの間でのウイルスの伝播能に関する既知の変化のいずれとも関連していない。これらの点を考慮し、現時点での公衆衛生的意義は限定的である。最後に、これらの所見はフェーズ段階を変更する必要を示唆しない。WHOパンデミック準備段階は3のままである。

エジプト政府当局、WHO、およびその協力センターは、現在行われている調査と解析によるすべての関連する情報を入手し次第、ただちに一般公開する。

1] 2人の患者に関連した本更新における年齢と月日は以前の報告と少々異なるが、WHOに提供された最も最新の情報を反映したものである。




(2007/1/24 IDSC 掲載)



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