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高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)―更新14

 2004年2月1日 WHO(原文

 

更に2例のH5N1型のヒト感染症がベトナムで検査により確定

検査によって更に2例のH5N1型の鳥インフルエンザへのヒト感染例が追加確定された。両症例とも死亡した。

本日発表された2死亡例は姉妹で、23歳と30歳であった。両者ともに1月10日に具合が悪くなり、1月13日に入院、そして1月23日に死亡した。この2症例に関する地元での初期の検査結果からははっきりとした結論が得られなかった。本日の公式な確定は、香港のWHOインフルエンザ・リファレンス研究所における、更に徹底した検査を受けて行われた。

ベトナムでは、総計10例のH5N1型鳥インフルエンザのヒト感染例が確認されたことになる。この10例中、8例が死亡、1例が回復、残りの1例は入院中である。

家族内クラスター(cluster)の調査

先のふたりの姉妹は、タイビン省(Thai Binh province)からの重症呼吸器疾患のひとつの家族内クラスター(患者の集積:cluster)事例4例のうちの一部である。この患者群には先のふたりの姉妹、その兄と完全回復したその妻が含まれている。この兄は、重症呼吸器疾患で1月7日にハノイの病院に入院し、1月12日に死亡した。彼からの検査のための検体はまったく入手できない。

このクラスターの詳細な調査はWHO、ベトナムの国立衛生疫学研究所(National Institute of Hygiene and Epidemiology)、地方保健当局により実施されている。

本日までのところ、この調査からは、姉妹ふたりの感染源について特定にするに至っていない。この家族内クラスターを除き、ベトナムにおける集団発生のヒト症例はすべて感染家禽への接触と関連付けられている。

1997年に香港で、分子医学的および疫学的データの両方を用いた徹底的研究の結果、18例のヒトのH5N1型感染はすべて生きた感染家禽との接触に結び付けられた。

WHOは、この18症例に加え、香港のH5N1集団発生と、2003年のオランダのH7N7型の高病原性鳥インフルエンザの集団発生において、ヒト−ヒト感染伝播が非常に限定されていたことを検査学的証拠が示唆していると明確に述べている。しかしながら、この非常に限られた(ヒト−ヒトの)二次感染伝播の結果生じた、重症なヒト感染例は無い。

現在のベトナム症例の家族クラスターについてWHOは、兄から姉妹への限られたヒト−ヒト感染伝播が、可能性のあるひとつの説明であると考えている。調査によっても、感染家禽や環境感染源との接触のような、これら症例の感染源を説明できる可能性がある、特別な出来事の特定はできなかった。しかしながら、H5N1感染がベトナムで広範に広がっていることから、入手可能な証拠に基づいて、家禽からヒトへの直接感染伝播を完全に除外することは難しい。

現在は、ベトナムでもその他においても、効率的なヒト−ヒト感染伝播が起こっていることを示す証拠は何もない。WHOと、ベトナムそして世界の保健当局は、疫学的発展という視点から、この集団発生の評価検討を続けている。ヒト症例は、感染源を特定するために調査されたおり、本日までのところの証拠はこれを支持するものである(reassuring)。

WHOチームはベトナムとタイの国レベルの調査を支援し、このような支援を要請している他の国々もすぐに到着する予定である。

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(2004/2/2 掲載)