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高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)――更新12

 2004年1月29日 WHO(原文

 

ヒトにおけるH5N1疾患のさらなる発生を防ぐ

家禽に高病原性H5N1型鳥インフルエンザが集団発生したことへの対応として、いくつかの国では何百万羽の鶏の大量処分を行っている。これは、ヒトのH5N1感染症例がさらに発生するのを防ぎ、世界流行の可能性がある新型インフルエンザウイルスの出現を抑え得る主要な防御法である。

WHOは、ヒトに重症疾患および死亡を引き起こしうるウイルスに暴露されるリスクが高い状況で働く人々では、個人的防御が必要であると言い続けている。家禽類の大量処分を行なう前に取るべき安全対策の勧告が出されている。これらの勧告を厳格に守ることで、家禽におけるH5N1感染のさらなる拡大を防ぐための処置により、ウイルスのヒトへの伝播が増長する可能性は低くなるであろう。

感染が起っている国々で殺処分を行う人々は、WHOの勧告にできるだけ厳格に沿う必要がある。勧告は適切な個人的防護具の使用について述べているが、それにはゴーグル、できればN95マスク、使用後に消毒または廃棄が可能な特殊な防護服などが含まれている。頻繁に手を洗うことを強く奨めている。

WHOはまた、家禽類の処分に携わる者及び養鶏業者において、H5N1呼吸器感染が疑われた場合の治療として、効果的な抗ウイルス薬をすぐに使用可能な状態にしておくことを推奨する。

2003年のオランダでの高病原性H7N7型鳥インフルエンザの集団発生の時に、数千人の養鶏業者や処分場で働く者を守るために、N95マスクと抗ウイルス薬の予防内服が用いられた。この集団発生のときは3,000万羽近い家禽が処分された。この時は83人の養鶏業に携わる者とその家族が軽い鳥インフルエンザにかかり、この流行で獣医師一人が死亡したが、死亡者は適切な感染防御策を取っていなかった者であった。

家禽における現在の集団発生の起源についての調査

家禽での高病原性H5N1鳥インフルエンザの集団発生が現在起きている国々は、WHO世界インフルエンザサーベランスネットワークに属する研究所へ、多数の検体とウイルスを提供した。WHOは、感染が起きているすべての国と、世界中のインフルエンザ専門家の高い次元での国際的協力に感謝する。

ヒトおよび何種類かの鳥から分離されたウイルスを実験室で解析し、2004年1月に感染した鳥とヒトから得られたH5N1ウイルスを、数か月前に鳥から分離されたウイルスと比較することができた。研究成果が示していることは、現在鳥およびヒトに重症疾患を引き起こしているウイルスが、最初に予想したより以前からアジアの一部で循環していたことである。これまでのデータでは、現在発生している高病原性H5N1鳥インフルエンザが最初地理的にどこで発生したものかにつき、推測することさえもできない。 今まで、WHOのネットワークに属する研究所は、カンボジア、日本、韓国、ベトナムの当局より提供された現在の集団発生に由来するウイルスを解析した。インドネシア、ラオス、タイの集団発生から得られたウイルスも、解析のためにまもなく提供される予定である。

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(2004/2/2 掲載)