このページの声明は食品の安全性に触れていますが、さらなる鳥インフルエンザの一般的な情報は、‘感染症サーベランスと対策ウェブサイト’のインフルエンザ部門を参照してください。
- Communicable Disease Surveillance & Response(英語)
食品の安全性:アジアにおけるヒトと鶏の鳥インフルエンザA(H5N1)
2004年1月24日−最近、ベトナムで鶏において高病原性H5N1鳥インフルエンザが集団発生し、同じ地域の他のいくつかの国からも同様な報告がなされたことから、感染源やヒトへの感染の危険性が心配されている。ベトナムやタイの患者で鳥インフルエンザウイルスH5N1が検出されたので、感染源及びヒトへの感染伝播に関して新たに注目が集まってきた。
鳥インフルエンザは鳥の感染症である。渡り鳥(特にノガモ)は鳥インフルエンザウイルスの自然宿主であり、感染に対して最も抵抗性がある。鶏や七面鳥などの家禽は、急性の致死的なインフルエンザの流行を非常に受けやすい。鳥インフルエンザウイルスはめったにヒトに病気を起こさず、鳥とブタ以外の種には通常感染しない。ヒトに重症疾患を引き起こすことは、今まで2度(1997年香港及び2003年オランダ)報告されている。これらの集団発生の調査により、ヒトへの感染源は生きている感染鶏との濃厚な接触であることが分かった。したがって、家禽においてインフルエンザ発生が最近確認されている地域では、生きている家禽を直接消費者に売る行為は控えるべきである。
WHOは、生きている感染動物との直接接触に加えて、汚染された鶏製品との接触により鳥インフルエンザに感染する可能性について、最近心配が生じていることは承知している。そのためWHOは、汚染食品によって鳥インフルエンザが感染することを示唆する何らかの証拠があるかどうか調べている。現在まで、汚染食品を通して本疾患が広がったこと、および、伝播確認地域からの製品がヒトの感染源となったことを示唆する疫学的な情報はない。
WHOは、感染伝播に関して出された研究や報告の検討を行なってきた。現在の集団発生では、鶏に加えてブタやカモでの感染も報告されている。感染した鶏は速やかに症状を呈するであろうから、加工過程に乗る前に処分されるはずである。鴨はウイルスの無症状保有者と報告されており、鴨の加工製品はウイルスに汚染されている可能性がある。最近の研究では、輸入された凍結鴨肉からも高病原性H5N1型インフルエンザウイルスが分離されている。そのような報告の公衆衛生上の重要性はよくわかっていないが、調理過程においてウイルスが不活化されると思われるので、危険性は非常に少ないと考えられている。一般的に、家禽類の生肉を扱う際には衛生的に行い、家禽製品には加熱が推奨されているので、ありうる危険性はほとんど問題ないレベルにまで低くなるであろう。感染した家禽から取れた卵もまたウイルスに汚染されているため、卵の殻や生たまご製品を扱う際には、注意を払うべきである。
食品の取り扱いや処置がインフルエンザウイルスに及ぼす影響につき、分かっていることがいくつかある。冷蔵や冷凍では、汚染された肉のウイルスの量や毒力は実質的には減少しないであろうが、適切に加熱をすれば、そのようなウイルスは死滅する。一般的にWHOは、内部温度が70℃になるよう食品の加熱を行なうことを推奨する。
いくつかの国で、動物の健康を守るために流通制限が取られているところもあるが、現在入手できるデータに基づいてWHOは、家禽集団にH5N1型鳥インフルエンザの集団発生が現在見られている地域内、ないしはその地域から到着する家禽加工製品(冷蔵あるいは冷凍された1羽丸ごとの生肉、それらに由来する製品)や卵が、公衆衛生上のリスクであるとは結論付けていない。WHOは引き続き、手洗い、交差感染の防止、徹底した加熱を含めた、家禽類の製品を取り扱う際の衛生的手技の重要性を強調していく。WHOは引き続き、保健当局やパートナー組織と協力して、現在の集団発生の成り行きを詳細に監視して行く予定である。
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