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プレスリリース(WPRO)
 WHOがベトナムの高病原性鳥インフルエンザの集団発生を調査
 (2004年1月13日)


世界保健機関(WHO)は、ハノイ地域(ベトナム)からの3例の、トリのインフルエンザとしても知られているH5N1型高病原性鳥インフルエンザの症例について、診断検査による確定の報告を得た。検体は死亡した小児2人と大人ひとりから採取された。

2003年10月以来、ハノイとその周辺の省から合計で14例の重症の呼吸器疾患患者が検知された。これらのうち13例は小児で、1例が成人である。本日までに、これらの小児患者のうち11例と成人の症例が死亡した。しかしながら今までのところは、これらのすべてが高病原性鳥インフルエンザによって発生したとする証拠はない。

WHOは、明らかにヒトがそのウイルス株に対して免疫をほとんど持っていないことから、ヒトで高病原性鳥インフルエンザが見られることを憂慮している。WHOは、もしもヒト−ヒト感染が発生したら、ヒトにトリのインフルエンザが存在することを深刻な事態であるとみるであろう。昨年10月以来これら症例が病院で観察、治療されている間には、そのような感染伝播を示唆するものは無かった。

事例には幾つか家族が含まれているものもあるが、罹患した人たちが同一の感染源の家禽に曝露された可能性を調査メンバーは検討している。現時点までに聞き取り調査がなされた5家族中4家族が、住んでいる村で鶏が死んでいたことを思い出したと伝えられた。

「本日までに入手した証拠によると、ヒト−ヒト感染の兆候は無い。しかし、もしそれが起こったら我々は深刻な状況に陥るだろう。この鳥型インフルエンザウイルスが、人から他の人へと感染伝播する完全な能力を獲得するかもしれない可能性を主に心配している。その場合には、次に伝播したウイルスは病原性も感染性も非常に高いと考えられるためである。このような理由で、WHOとベトナム当局は今回の事例に対して真剣に対処している」と、本日 WHO西太平洋地域事務局長の尾身茂博士は述べた。

ベトナム南部では、鶏に高病原性鳥インフルエンザの集団発生が起こった。鶏の疾病と、臨床検査によって確定されたヒトの3症例の両方に、インフルエンザA(H5N1)として知られるウイルス株が関与している。何らかの関連性の可能性を明らかにする努力の一環として、検体はハノイの国立衛生疫学研究所とWHOで検査され、ベトナム保健省は5人の患者からの検体をさらに検査するため、香港の国立インフルエンザセンターと日本の国立感染症研究所へ送った。香港で検査された3検体はH5N1陽性が証明された。

WHOはベトナム保健当局と協力して、ヒトへのこれ以上の拡散を防止するための調査と取り組みをする。

ベトナム当局によると、 Long An 省における2つの集団発生で、30,000羽の鳥が死亡し20,000羽が処分された。Tien Giang省では、1つの集団発生があったが、10,000羽が死亡し10,000羽が処分された。パリの国際獣疫学事務局(OIE)によると、これらの死亡の原因としてインフルエンザH5が検査により確認された。

同時期に、日本では初めての鶏における高病原性鳥インフルエンザの集団発生が確認された。県当局の話によると、山口県にある農場において死亡したことが明らかにされた約6,000羽の鶏は、高病原性鳥インフルエンザで死亡したことが検査により明らかになった。また、約30,000羽が処分されるとのことである。昨年、韓国ではH5N1の集団発生後に100万の鶏とアヒルが死亡あるいは処分された。ヒトの感染例は報告されていない。現在のところ、ベトナム、韓国と日本の症例の間に関連性を示す証拠はない。

ヒトに感染したH5N1高病原性鳥インフルエンザ病原体は1997年に香港から報告された。その事例では6人が死亡した。100万以上の鶏とアヒルが処分された。

WHOは、トリからヒトへのH5N1の感染伝播を防止する緊急的必要性があると述べた。ベトナムですでに実行されている動物の殺処分はその危険性を低下させるであろう。しかし、WHOは、処分に携わる労働者や職業的に感染源に暴露された可能性のある人々の健康を守る方策をとることを勧めている。

ベトナム保健省、農業省、同国の地方開発当局と密接に状況の追跡調査を行なう。

より詳しい情報を希望される方は、WHO西太平洋支局(WPRO)の広報官、Peter Cordingley氏(632 528 9991)へご連絡ください。またはWHOジュネーブ本部のDick Thompson氏(+4122 791 2684 または +4179 475 5475)へお願いします。

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(2004/1/14 掲載)