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急性脳炎(03年11月5日〜05年10月27日報告分) | |
16歳以上の194例(発病月が不明の4例を除く)について発症月別にみると、2004年9〜11月に著しく多く、その病原体はほとんどが不明であった(図3b)。この3カ月間の報告数の60%が秋田県、山形県、新潟県の3県からの報告であり、スギヒラタケ関連疑いの脳炎・脳症発生の影響と考えられた。194例の病原体別では、病原体名の報告されたものは52例で、単純ヘルペスウイルスが23例と最も多かった。病原体不明のものは142例で、73%を占めた。発症月が不明の4例の病原体は全て不明であった。 予後については、届け出以降に追加報告のあったものを含めて、死亡の報告が47例(14%)であった。このうち、16歳未満は18例であり、性別では男性5例、女性13例で、年齢別では1歳3例、2〜5歳10例、6〜10歳3例、11〜15歳2例であった。それらの病原体は、インフルエンザウイルス7例、アデノウイルス42型1例、コクサッキーウイルスA6型1例、ロタウイルス1例、不明8例であった。16歳以上の死亡例は29例で、性別では男性14例、女性15例、年齢別では16〜19歳1例、20代3例、30代1例、40代2例、50代5例、60代7例、70代7例、80代3例であった。それらの病原体は、インフルエンザウイルス3例(60代2例、80代1例)、麻しんウイルス1例(20代)、単純ヘルペスウイルス1例(70代)、不明が24例であった。 この様に、近年問題となっているインフルエンザ脳症やエンテロウイルス71型による重篤な脳炎のみならず、麻しん脳炎などワクチン接種によって予防可能な疾患による死亡例や、地域的な急性脳炎の集積事例などの公衆衛生上の対応を必要とする事例が経験された。 また、この約2年間に1例の報告もない都道府県があることなどから、未報告の症例が多く存在することが推測される。急性脳炎が届出対象疾患であることを、一層周知徹底することが必要である。 病原体については不明が半数以上を占めていた。病原体の特定は診療現場における早期診断・治療や、ワクチン接種などによる予防対策に非常に重要であるので、特に集団発生など公衆衛生上重要と判断される場合においては、医療機関と行政機関の協力によって、より積極的な病原体検索を実施することが望まれる。 (感染症発生動向調査週報 IDWR 2006年第2号に掲載) |
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